日待ひまち)” の例文
いわゆる五節供ごせっく三節供さんせっくには限らず、九月の秋祭、十月の、その他毎月の日待ひまち月待つきまちまでを、鹿児島県などではみんな折目おりめ節目せちめと呼んでいる。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
寿平次はお民と二人ふたりぎりの兄妹きょうだいで、その年の正月にようやく二十五歳厄除やくよけのお日待ひまちを祝ったほどの年ごろである。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
此噺このはなし日外いつぞやしも日待ひまちとき開始ひらきはじめしより、いざや一くわいもよほさんと、四方赤良大人よものあからうし朱楽管江大人あけらくわんかううし鹿都辺真顔しかつべまがほ大屋おほや裏住うらずみ竹杖たけづゑ為軽すがる、つむりの光、宿屋やどや飯盛めしもりを始めとして
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
そりゃ銭金ぜにかねずくではかなわねえけれど頭数あたまかずで来い、憚りながらこの通り、メダカのお日待ひまちのように貧乏人がウヨウヨいるんだ、これがみんなピーピーしているからそれで貧乏人なんだ
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
やがてお日待ひまちの人々は帰つていつて、家中の者が寝てしまふ。夜は深くなる。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
いつを日待ひまちの名こそあれ
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
峠のものは熊野くまの大権現だいごんげんに、荒町のものは愛宕山あたごやまに、いずれも百八の松明たいまつをとぼして、思い思いの祈願をこめる。宿内では二組に分かれてのお日待ひまちも始まる。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
鯨のお日待ひまちのように累々と積み重なりますところを、熟練した川狩りの人夫が、長い鳶口とびぐちをもって、これを縦横にさばいて、程よく放流してやるめざましさは、さながら戦場そのままだと
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
前様めえさまの顔を一日見ねえば、なから百日も見ねえようでがんすよ……見ねえようでがんすよはおかしいナ……それに親父おやじが婿を取れと云いやんすから、厭でなりやしねえよ、明日あす日待ひまちだから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
最後に「今夜はお日待ひまちですぞな。」と本当のことを教へてくれた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
日待ひまち 月待つきまち
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
福島の役人たちが湯舟沢村の方へ引き揚げて行った後で、「お叱り」のものの赦免せられるようにと、不幸な村民のために一同お日待ひまちをつとめた。その時のお札は一枚ずつ村じゅうへ配当した。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)