きっ)” の例文
その時私は脇差わきざしを一本して居たから、追付おいつかるようになれば後向うしろむいすすんるよりほか仕方しかたがない。きっては誠に不味まずい。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
どうでも詰らぬ恋を商買しょうばい道具の一刀にきっすて、横道入らずに奈良へでも西洋へでもゆかれた方が良い、婚礼なぞ勧めたは爺が一生の誤り、外に悪い事おぼえはないが
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
すなわち生麦で英人のリチヤードソンと云うものを薩摩のさむらいきったと云うことが丁度ちょうど彼方あっちに報告になった時で、サア仏蘭西のナポレオン政府が吾々われわれ日本人に対して気不味きまずくなって来た。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
中にも土佐の若武者などは長い朱鞘しゅざやの大小をして、鉄砲こそ持たないが今にもきっかかろうと云うような恐ろしい顔色がんしょくをして居る。うかと思うとその若武者があかい女の着物を着て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)