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放縦
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ほうしょう
ふりがな文庫
“
放縦
(
ほうしょう
)” の例文
旧字:
放縱
そのうち自然に
放縦
(
ほうしょう
)
にもなって、
幾人
(
いくたり
)
もの恋人を持ちましたが、その中で
可憐
(
かれん
)
で可憐でならなく思われた女としてその人が思い出される。
源氏物語:22 玉鬘
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ケイ女史では自然が不平等に作った男女の生活を人間が平等にしようとするのは
放縦
(
ほうしょう
)
であると見られる相異がある。
母性偏重を排す
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
きわめて男女間の風紀が
放縦
(
ほうしょう
)
で、性生活の自由なこの村の者は、眼のまえにひき起された三角葛藤をながめても、そう驚異とも感じない様子であった。
銀河まつり
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
原文はきわめて貧弱なくせに、注釈が
馬鹿
(
ばか
)
に豊富だった。社会学は最も
放縦
(
ほうしょう
)
な思想に珍味を与えていた。当時はすべてが社会学の天幕に
覆
(
おお
)
われていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
有体
(
ありてい
)
に云えば、彼は小林に対して克明に
律義
(
りちぎ
)
を守る細心の程度を示したくなかった。それとは反対に、少し時間を
後
(
おく
)
らせても、
放縦
(
ほうしょう
)
な彼の鼻柱を
挫
(
くじ
)
いてやりたかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
彼女はそうした生活から、そうした
放縦
(
ほうしょう
)
の疲労から老衰を早めた。おりもおり、さしもに誇りを持った横浜の土地から、或夜、ひそかに逃げださなければならなかった。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その時分私は
放縦
(
ほうしょう
)
な浪費ずきなやくざもののように、義姉に思われていた。
蒼白い月
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
当主である清太郎の父の理兵衛は
放縦
(
ほうしょう
)
な
好々爺
(
こうこうや
)
である。じっとしてはいられない性分で、何かと事業に手を出したがる。今までに幾つかの事業に手を出しては人にも
騙
(
だま
)
され、
悉
(
ことごと
)
く失敗に終っている。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
放縦
(
ほうしょう
)
な人は小さいものをつまずかすことをおそれないのだ。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
強い者の
放縦
(
ほうしょう
)
と不仁非道とを許容して置いて、私たち無産階級の弱い者ばかりを、節倹や、過労や、減食や、粗食に由って機械と動物との位地にまで追い詰め、追い詰め
婦人指導者への抗議
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
多年の
放縦
(
ほうしょう
)
生活を改めたという、家庭の
美事光明
(
びじこうみょう
)
が、一瞬にひっくりかえってしまったのだ。
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
しかし彼らのうちには、その本能がひどく衰微していた。彼らの
放縦
(
ほうしょう
)
は主として頭脳的なものだった。文明の逸楽的な気のぬけた大
浴槽
(
よくそう
)
の中に浸り込む気持を、彼らは享楽していた。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
放縦
(
ほうしょう
)
にしてまとまらぬうちに面白味のあるものでも、
精緻
(
せいち
)
を
極
(
きわ
)
めたものでも、一気に
呵成
(
かせい
)
したものでも、神秘的なものでも、写実的なものでも、
朧
(
おぼろ
)
のなかに影を認めるような
糢糊
(
もこ
)
たるものでも
作物の批評
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしどんなことをしても、壁の割れ目からいくらのぞこうとしても、まったく何にも見てとれなかった。彼女らの性質は、無邪気と詩的な
放縦
(
ほうしょう
)
とパリー的な皮肉との混和したものだった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
おおかめさんは、
家
(
うち
)
では金が出来てしかたがないのだといった。いつでも、せまいほど家のなかがウザウザして、
騒々
(
そうぞう
)
しい
家
(
うち
)
だった。
樽
(
たる
)
づめのお酒を誰かしら
飲口
(
のみくち
)
を廻していた。
放縦
(
ほうしょう
)
だった。
旧聞日本橋:23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それとも、将来は教養ある男子が殖えるに従って、自己の純潔を貴ぶため、家庭の平和を欲するため、
放縦
(
ほうしょう
)
な性欲を自制して一夫一婦主義を女子と同じく尊重し実践するようになるであろうか。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
放
常用漢字
小3
部首:⽁
8画
縦
常用漢字
小6
部首:⽷
16画
“放縦”で始まる語句
放縦不羈
放縦無頼
放縦不覊
放縦懶惰