推移おしうつ)” の例文
時雄は時代の推移おしうつったのを今更のように感じた。当世の女学生気質かたぎのいかに自分等の恋した時代の処女気質と異っているかを思った。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
その上に世を推移おしうつる世才にけているから、硯友社という小さい天地にばかり跼蹐きょくせきしないで、早くから広い世間に飛出して翺翔こうしょうしていた。
切言せつげんすれば宇宙のうべからざる一種異様なる力と交わり、時の要求と共に推移おしうつり活社会に活動するの人格をやしなうを教育の最大目的とせねばならぬ。
教育の最大目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
北の病翁びょうおうに如何にひびいたであろうか、と気にかゝらぬではなかったが、推移おしうつって居る内に、突然翁の訃報ふほうが来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
漫然まんぜん世と推移おしうつりて、道理上よりいえば人事の末とも名づくべき政事政談に熱するが如き、我輩は失敬ながらもとを知らずしてすえに走るの人と評せざるを得ざるなり。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
いためけるが早くも年月推移おしうつりて正徳四年と成ければ當春たうはる是非ぜひ店卸たなおろしを爲んとてやが諸帳面類しよちやうめんるゐ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
結髪時代の月代さかやきの世とともに次第に推移おしうつったものであろう。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
故に教育の目的は如何いかに深淵なる学理の攻究研鑽を積むも、常識圏外に逸する事なく、研学のを進むると同時に、活社会を離れず、いわゆる世と推移おしうつり時世の進歩傾向を知ると共に
教育の最大目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)