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拂曉
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あけがた
土が
徹宵さういふ
作用を
營んだばかりに、
日は
拂曉の
空から
横にさうして
斜に
其の
霜を
解かして、
西風は
直にそれを
乾かして
残酷に
表土の
埃を
空中に
吹き
捲くる。
其の
日も
拂曉から
空が
餘りにからりとして
鈍い
軟かな
光を
有たなかつた。
毎日吹き
捲くる
疾風が
其の
遠い
西山の
氷雪を
含んで
微細に
地上を
掩うて
撒布したかと
思ふやうに
霜が
白く
凝つて
居た。