打倒うちたお)” の例文
是等これらの人々何が為に此室にきたりたるぞ、余は怪むひまも無く床の真中に血に塗れたる死骸あるに気附たり、小柄なる白髪の老人にして仰向あおむき打倒うちたお
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
道化人形が倒れ、鬼人形が倒れ、女幽霊の人形が倒れ、三つ目小僧が倒れ、次々と人形共は、大砲のキルク玉に打倒うちたおされて、丘の蔭に姿を消して行った。
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
いや蒼空あおぞらの下へ出た時には、何のことも忘れて、くだけろ、微塵みじんになれと横なぐりに体を山路やまじ打倒うちたおした。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
手をぶるぶるふるわせ、血走った両眼を見開いて、恐ろしい幻影を見詰める様であった。が、それも一瞬、彼女はあっ! と叫びながら恐怖の悲鳴を上げて打倒うちたおれた。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
人のネンを打倒うちたおして手の幅一つだけ離すことができれば、それを取って自分のものとしたという。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
此方こなたは数十人の役人、突棒つくぼう刺叉さすまた鉄棒てつぼうなどを携えて、取押えようと必死になって働いて居りますが、何しろ死者狂しにものぐるいの罪人ども、荒れに荒れてたちまち役人も三四人打倒うちたおされました。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
やがて友之助と立花屋の主人あるじ召捕めしとって相生町あいおいちょうの名主方へ引立ひきたてゝまいりました。玄関にはかね待受まちうけて居りました小林藤十郎、左右に手先をはべらせ、友之助を駕籠から引出して敷台に打倒うちたお
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
最前からの山冷やまびえにて手足も凍え、其の儘に打倒うちたおれましたが、女の一心、がばと起上り、一喝いっかつ叫んでドンと入れました手練しゅれん柔術やわら、一人の舁夫はウームと一声ひとこえ、倒れるはずみに其の場を逃出しました。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私イ孩児の世話アして草臥くたびれたから、次の間に打倒うちたおれて寝てしまって、夜半よなかに眼イさますと、夫婦喧嘩がはだかって居るのサ、女の方で云うには、塩梅あんべいに云いくるめて、旦那におっかぶして置いたが
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)