所存しょぞん)” の例文
この上なき名物を求めん所存しょぞんなり、主命たる以上は、人倫の道にもとり候事は格別、その事柄に立入り候批判がましき儀は無用なりと申候。
「なんで正成にかくべつな奇略などありましょう。ただあすは御指揮のもとに全力をつくすほか何も所存しょぞんしてはおりませぬ」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奇略きりゃくにとんだそのほうのことゆえ、なお上策じょうさくがあればまかせおくが、して、この小娘をおとりにしてどうする所存しょぞんであるか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのうち寛永十四年嶋原征伐しまばらせいばつと相成り候ゆえ松向寺殿に御暇相願い、妙解院殿の御旗下はたもとに加わり、戦場にて一命相果たし申すべき所存しょぞんのところ、御当主の御武運強く
かねてそちだけには、詳しく告げてあるが、いよいよ質子ちし於松おまつ(松寿丸のこと)どのを、安土へれねばならぬ日が参った。今日にも打ち立つ所存しょぞん
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(安土のおいいつけはおろそかに致すな。よろず所存しょぞんにまかせおく。秀吉の心になってぬかりなく勤め候え)
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その代りに、柳生流について、何ぞ御質疑ありたい儀でもあれば、家の秘法とか相伝外に限るなどという狭量は申さず、どんなことでもお答え仕る所存しょぞんでござる
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
築城は、建設です。やはり大きないくさ所存しょぞんせねばなりません。物と、人力とを、あわせて最高に駆使くしするには。——ですから、やはり宿将中の重鎮たるおひとを
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——ともあれ、北ノ庄まで落ちいて、心措こころおきなく始末、きれいに、所存しょぞんを遂げたいと思う。……この上の御造作ごぞうさじゃが、湯漬を一椀いちわん、馳走して賜わるまいか」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「きょう三木川に引き出し、父の中村忠滋や城兵の遠見しているまえで、磔刑はりつけにしてくるる所存しょぞんです」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とりかこむ法やある。所存しょぞんあらば退しりぞいて申し出ろ。それとも目的は他にあって、事を幸いに天下を奪わんとでもするのなら問答は一切無用だ。しかと腹を割って申せ
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
筑前守様の御上意で、きょうはお前たちの所存しょぞんを訊いてやれとのお言葉だ。かねて汝らも知るがごとく、築堤の日限ははや半ばをすぎておる。然るに、工事は遅々ちちとして進まない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御幼少なお嫡男ちゃくなん、お三人のひいさまたちのお行く末については、藤吉郎、身にかえても、お護りいたす所存しょぞんにございますれば……畏れながら、それについては、いささかのお心残りも遊ばさぬように
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もとより、事不調の節は、生きては帰らぬ所存しょぞんにござります」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
所存しょぞんあらば、後日を待て」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)