戸数こすう)” の例文
旧字:戸數
林太郎りんたろうの村も、このふるい歴史をもった村のひとつでした。湖の南の岸の丘の上にあって、戸数こすうは五十ばかりでした。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
百余年以前には、村の戸数こすう上下じょうげをあわせて百六、七十、まだその以外にも同じ火災のあとで、利根川とねがわの川口に近い新田場しんでんばへ、疎開そかいさせた家が数十戸もあった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ここは甲州こうしゅう笛吹川ふえふきがわの上流、東山梨ひがしやまなし釜和原かまわばらという村で、戸数こすうもいくらも無いさみしいところである。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そこは下総国しもうさのくに行徳村からざっと一里程ある寒村だった。いや村というほどな戸数こすうもない。一面にしのあしや雑木の生えている荒野こうやであった。里の者は、法典ほうてんはらといっている。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このむらひとたちは、おばあさんが金持かねもちだということをっていました。そこで、むらちいさくて、いたって戸数こすうすくなかったけれど、おばあさんのうちのぞいては、いずれも貧乏びんぼうでありました。
おばあさんと黒ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
戸数こすう五百に足らぬ一筋町の東のはずれに石橋あり、それを渡れば商家あきんとやでもなく百姓家でもない藁葺わらぶき屋根の左右両側りょうそくに建ち並ぶこと一丁ばかり、そこに八幡宮はちまんぐうありて、その鳥居とりいの前からが片側町かたかわまち
置土産 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)