懲々こり/\)” の例文
ふり何の用かと思ひましたら今日も亦花見のおとも吾儕わたし昨日きのふ若旦那につれられて行き懲々こり/\したれば何卒なにとぞ之は長松どんか留吉どんに代らせてと言を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もうたび懲々こり/\でした。そうおもふと、自分じぶんいへこひしくつてこひしくつてたまりません。はやくかえらう。はやくかえらう。と、……………………
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
だけど私、過日このあひだでモウ皆に笑はれて、懲々こり/\してるんですもの。ぢやけて下さいつて、だまして逃げて來たもんだから、野村さんに追驅けられたのよ
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
きらいぢやありません、きですからおそれてゐるのです、たゝくにしのびません、そしてうことは懲々こり/\してゐるんです」
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
「野呂さん、あんたもあきれたものだんな。おときさんの事でもう懲々こり/\しやはつたらう思ふてましたがな。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
もうあの女には懲々こり/\したから真面目になって夫婦仲善く可愛いゝ子の顔を見て暮そうと云う心になったよ、しかし只辛抱するったって親父が中々得心しまいから、横浜へ往って
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「まア待ちねえ」と辰つアんは受けて、いが栗頭をぬつと周三の方へ突き出し、「お前さんといふ男が喰つついてるんで、おかみが文句をいやがるんだよ、ひもつきには懲々こり/\してるといやがるんだ。 ...
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
「いえ、姉はもう、嫁の務めは懲々こり/\したと言つて居りました」
無理に引きとめておいてはおうちの首尾もありましょうし、またね、あのにも申し訳がありませんから、私は我慢して辛抱しますが、お前さんはこれに懲々こり/\してもう二度と再び来ては下さるまいね