感応かんのう)” の例文
旧字:感應
「忠誠の鉄心、われら土匪にすら通ず、いかで天の感応かんのうなからん。——君よ、他日来たまえ。われかならず汝南の城をお譲りせん」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その真実の精神は仏陀ぶっだ感応かんのうましまして、この誰もが入り難い厳重なる鎖国さこく内に到達して、今日まで仏教を修行することが出来たのである。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
かりに催眠術師が生きた人間に対してそういう感応かんのうをあたえ得るとしても、生きていないもの……すなわち椅子やドアのような物に対して、それを
そもそも海をる者は河を恐れず、大砲を聞く者は鐘声しょうせいに驚かず、感応かんのうの習慣によってしかるものなり。人の心事とその喜憂きゆう栄辱えいじょくとの関係もまたかくのごとし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
研究するということの霊感を感応かんのうし体得することの出来たような異数に幸運な学生を除いては、通り一遍のままで卒業した多数の学生には、それは無理もないことである。
九谷焼 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
考えると何でもその時は死神しにがみに取り着かれたんだね。ゼームスなどに云わせると副意識下の幽冥界ゆうめいかいと僕が存在している現実界が一種の因果法によって互に感応かんのうしたんだろう。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
感応かんのうありて、一念の誠御心みこころかない、珠運しゅうんおの帰依仏きえぶつ来迎らいごうかたじけなくもすくいとられて
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いわゆる火花式スパークテレグラフィーまたドイツのテレフンケンシステムと称するもので、すなわち感応かんのうコイルを用いて強烈なる火花を起し、その放電によって電波を生ずるのであるが、かくして起った波は不規則で
無線電信の近状 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「八大龍王、感応かんのうあらせたまえ」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「神事を行うに、など兵法を用いんやじゃ。お屋形(正成)のまっ直なお心をうかがって、このじいなどはおそれ入った。いまに見い、神の感応かんのうあって、かならず大雨を見ようわえ」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんなものを相手にして鳴いて見せたって、感応かんのうのあるはずはないのだが、そこが、ひもじい時の神頼み、貧のぬすみに恋のふみと云うくらいだから、たいていの事ならやる気になる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いや、蝙蝠にかぎることはない、なんでも動物霊気れいき感応かんのうを必要とするのだから、ねずみでもねこでもいいが、いまこの塔中とうちゅうには蝙蝠よりいないのだから、ぜひそれへ指でもふれたいのである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)