惨禍さんか)” の例文
惨禍さんかは大きかったけれど、もうそれにもいつしか慣れてしまって、始めの大袈裟おおげさな恐怖や不安がすこし恥かしくなる頃であった。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)
きのうから眠り病の惨禍さんかを、まざまざと見せつけられているし、それが何者かの大陰謀だとあっては、なおさら聞きずてならぬことだった。
睡魔 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
げに人生の苦痛惨禍さんかは、幕一重のかなたなる永生を以てせずしては根本的に慰められ得ない。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
選挙権をおろそかにしたる報いはたちまち国民自身の頭上に落ち来り、種々なる悪弊の惨禍さんかこうむらねばならぬ。その時になって、国民は不平を鳴らしても苦痛を訴えても追付くものでない。
選挙人に与う (新字新仮名) / 大隈重信(著)
馬鹿ばか! 負傷どころじゃない。大変だぞ。」と、信一郎は怒鳴りつけずにはいられなかった。彼は運転手の放胆な操縦が、惨禍さんかの主なる原因であることを、信じたからであった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
さいわいにしてタメルランは、千四百〇五年すなわち永楽三年二月の十七日、病んでオトラル(Otoral)に死し、二雄あい下らずして龍闘虎争りゅうとうこそうするの惨禍さんか禹域ういきの民にこうむらしむること無くしてみぬ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ヤマ族は全く無反省むはんせいです。われわれトロ族がこれまでにこうむった惨禍さんかに目を向けようとしない。そしてわれわれを無視して、無制限に侵入して来る。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ごもっともである。海底都市の拡張かくちょう工事がこんな惨禍さんかを君たちに与えようとは全然知らなかった。早速さっそく僕は、このことを報告して、直ちに善後策を講ずるであろう」
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さあ、これで平和のうちに、惨禍さんかのトロ族たちを救い出しに行ける。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
六日目は、朝から市中へ出て、爆撃の惨禍さんかなどを見物して廻った。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのまま放って置けば、あの怪人や化物は何をするか判らないのです。おしまいには東京の方へ飛んでいって空襲くうしゅうよりもなおおそろしい惨禍さんかきちらすかも知れません。そんなことがあっては一大事です。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)