快濶くわいくわつ)” の例文
『まあ、御敷下さい。』と丑松は快濶くわいくわつらしく、『どうも失礼しました。実は昨晩遅かつたものですから、寝過してしまひまして。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
其身そのみが世の名利みやうりかゝはらねばなり、此日このひるものみなうれしく、人のわざ有難ありがたおもひしは、朝の心の快濶くわいくわつなりしうつりか、その飛々とび/\ひとり隅田すみだ春光しゆんくわう今日けふあたらし。
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
太つて快濶くわいくわつな法学士の野田副寮長と、穏和で口数の少ない——何となく病後らしい文学士の森島和作とは、お附合でやはり庭に降りて来て、小さい生徒達のなかに混つてゐた。
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
婆さんは日本のオト大将と島川しまかは少将とを一度めた事があると話したが「オト」はおく間違まちがひかも知れない。この婆さんは「そよぐ麦」の中の「小作女こさくをんな」と云ふ詩に歌はれた人ずきのする快濶くわいくわつな婆さんである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
『いや、どうも遅なはりまして、失礼しました。』と金縁の眼鏡を掛けた議員が快濶くわいくわつな調子で言つた。『実は、高柳君も彼様いふやうな訳で、急に選挙の模様が変りましたものですから。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)