御出おんいで)” の例文
さて景一光広卿をかいして御当家御父子とも御心安く相成りおり候。田辺攻たなべぜめの時、関東に御出おんいで遊ばされ候三斎公は、景一が外戚がいせきの従弟たる森三右衛門を使に田辺へ差立てられ候。
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
呼掛よびかける者あり誰ぞと振返ふりかへり見れば古河にありとき召使ひし喜八と云ふ者にて吉之助がそばに來り貴君樣あなたさまには何時御當地へ御出おんいでありしや途中とちうながら御容子ごようすうかゞたしと申けるに此所は人立ひとだちしげければとて傍邊かたへの茶屋にともなひ吉之助は諸藝稽古しよげいけいこの爲め横山町の出店でだなへ來りしより多くの金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
尋ねさがさんとする處へ表の質屋よりれいの小僧が來り一昨日御出おんいで遊ばし御對談ごたいだんの上今一兩日まちくれよとの御頼み承知したれども其後今日けふ迄も一向に御沙汰是なく候間今日中猶豫いたし明日は是非々々相流あひながし候により然樣さやう御承知下されよと門口より言放いひはなし小僧は急ぎて歸りけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わづか二千や三千の金位に御勘當ごかんだうとは餘りなり當分の見懲みごらしなるべきまゝ今にも私し參り御詫おんわび仕つらんなれども吉原に御在ござられて女郎の世話になり給ふと有りては御詫のさまたげ今よりすぐに私し方へ御供申さんと云ふにぞ五八も其理そのりふく如何樣いかさま私し方に御出おんいでありてはかへつて御詫の妨げ此由初瀬留樣へも申べし自然しぜん御用もあらば御文は私し方へつか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)