御側おそば)” の例文
それはツイ先月の話のことだが、合田氏の知人に、徳川家の御側おそば御用を勤められた戸川という方があって、その御隠居が可愛がった一匹の狆があった。
どうかお父様やお母様は、ぜすす様やまりや様の御側おそばへお出でなすって下さいまし。その代りおん教を捨てた上は、わたしも生きては居られません。………
おぎん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
久世大和守重之やまとのかみしげゆき。戸田山城守忠實やましろのかみたゞさね。井上河内守かはちのかみ正峯。御側おそば御用人間部まなべ越前守詮房のりふさ。本多中務大輔なかつかさのたいふ正辰たゞとき。若年寄には大久保長門守正廣ながとのかみまさひろ。大久保佐渡守常春つねはる。森川出羽守俊胤ではのかみとしたね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御側おそば面々めん/\鳥籠とりかごをぐるりと取卷とりまき、「御難澁ごなんじふのほどさつる、さて/\御氣おきどくのいたり」となぐさむるもあり、また、「これも御奉公ごほうこうなれば怠懈おこたり御勤おつとめあるべし、かみ御慰おんなぐさみにならるゝばかり、 ...
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御側おそば用人、と岡野は云った。すばらしい花をお手に入れたそうですな。
(新字新仮名) / 山本周五郎(著)
これは御側おそば小姓を勤める野末源之丞のずえげんのじょうというのであった。
備前天一坊 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
それから一月ほど御側おそばにいたのち、御名残り惜しい思いをしながら、もう一度都へ帰って来ました。「見せばやなわれを思わむ友もがないそのとまやのしばいおりを」——これが御形見おかたみに頂いた歌です。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
なしにけり扨又伊豆守殿御役宅おんやくたくには天一坊歸館の跡にて御老中には伊豆守殿松平左近將監殿酒井讃岐守殿戸田山城守殿水野和泉守殿みづのいづみのかみどの若年寄衆は水野壹岐守殿みづのいきのかみどの本多伊豫守殿太田備中守殿松平左京太夫殿等御相談ごさうだんの上にて御側おそば御用御取次を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
受る事皆御父上の御高恩ごかうおんなればせめて此上の御恩報じには朝夕あさゆふ御側おそばに在て御介抱ごかいはう申上たし聊かも御不自由はさせ申間敷まじく何卒御止まり下さるゝ樣にと只管ひたすらいさめけれども父秀盛は更に聞入ず成程其方が申すこゝろざしはかたじけなけれども未だ/\我等とても全く老朽おいくちたるといふ身にもあらず諸國を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)