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引包
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ひッつつ
ふりがな文庫
“
引包
(
ひッつつ
)” の例文
ストンと溝へ落ちたような心持ちで、電車を下りると、大粒ではないが、
引包
(
ひッつつ
)
むように細かく
降懸
(
ふりかか
)
る雨を、
中折
(
なかおれ
)
で
弾
(
はじ
)
く精もない。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何と
生魚
(
なまうお
)
を、いきなり古新聞に
引包
(
ひッつつ
)
んだのを、爺様は汚れた風呂敷に
捲
(
ま
)
いて、
茣蓙
(
ござ
)
の上へ、首に掛けて、てくりてくりと
行
(
ゆ
)
く。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とまっしぐらに立向った、火よりも赤き
気競
(
きおい
)
の血相、猛然として躍り込むと、
戸外
(
おもて
)
は風で吹き散ったれ、壁の残った内は
籠
(
こも
)
って、
颯
(
さっ
)
と
黒煙
(
くろけむり
)
が
引包
(
ひッつつ
)
む。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、
電燈
(
でんき
)
を消すと、たちまち鼠色の濃い雲が、ばっと落ちて、
廂
(
ひさし
)
から
欄干
(
てすり
)
を掛けて、
引包
(
ひッつつ
)
んだようになった。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、あるいは三方から
引包
(
ひッつつ
)
んで、
誘
(
おび
)
き出す一方口の土間は、さながら
穽穴
(
おとしあな
)
とも思ったけれども、ままよ、あの二人にならどうともされろ!で、浅茅生へドンと下りた、勿論
跣足
(
はだし
)
で。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
透間に
射
(
さ
)
し入る日の光は、風に動かぬ粉にも似て、人々の袖に灰を置くよう、
身動
(
みじろぎ
)
にも払われず、物蔭にも消えず、
細
(
こまや
)
かに濃く
引包
(
ひッつつ
)
まれたかの
思
(
おもい
)
がして、手足も顔も同じ色の、蝋にも石にも
固
(
かたま
)
るか
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
喚
(
わめ
)
くや否や、狼のように
人立
(
じんりつ
)
して、
引包
(
ひッつつ
)
んで
飛
(
とび
)
かかった。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
包
常用漢字
小4
部首:⼓
5画
“引”で始まる語句
引
引込
引摺
引返
引張
引掛
引籠
引立
引緊
引出