府中ふちゅう)” の例文
江戸開城かいじょうの後、予は骸骨がいこつい、しばらく先生とたもとわかち、あと武州ぶしゅう府中ふちゅうの辺にけ居るに、先生は間断かんだんなく慰問いもんせられたり。
「はい、おります。千秋主殿助ちあきとのものすけと申し、以前、越前に住み、後、前田家が府中ふちゅうにあった頃に、召し抱えられた者にござります」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みちみち可懐なつかし白山はくさんにわかれ、日野ひのみねに迎えられ、やがて、越前の御嶽みたけ山懐やまふところかれた事はいうまでもなかろう。——武生は昔の府中ふちゅうである。
栃の実 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「御失念では痛み入る。それ、武州ぶしゅう府中ふちゅう六所明神ろくしょみょうじん暗闇祭くらやみまつりの夜、我等の仲間が大恥辱を取ったことについて」
怪異暗闇祭 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
「オイッ! 鞠子まりこまでいくらでまいるっ? なに、府中ふちゅうより鞠子へ一里半四十七文とな?」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
百草園は府中ふちゅうから遠くないと聞いて居る。府中まではざッと四里、これは熟路じゅくろである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
府中ふちゅう
顎十郎捕物帳:23 猫眼の男 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
阿部川の道をたずねたについてである。——都路みやこじの唄につけても、此処ここ府中ふちゅうと覚えた身には、静岡へ来て阿部川もちを知らないでは済まぬ気がする。
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は北ノ庄から府中ふちゅうへ、陣を移し、そして二十六日頃には、すべてを終って、岐阜へ凱旋がいせんしていたのである。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
剛七郎身長みのたけ六尺近く、有名なムッツリ屋、周防すおうの国は毛利左京亮もうりさきょうのすけ府中ふちゅう万石まんごく後足あとあしで砂をかけたという不忠の浪人——ナニ、変な洒落だ? とにかく、コイツ面倒臭いと思ったのだろう。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
五月五日は府中ふちゅう大国魂おおくにたま神社所謂六所様の御祭礼ごさいれい
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
駿河衆は、この地を駿府すんぷとはばない。府中ふちゅうと称んでいる。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
府中ふちゅうを立つ時、義元は約した。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)