幾処いくところ)” の例文
旧字:幾處
胴中には青竹をりて曲げて環にしたるを幾処いくところにか入れて、竹の両はしには屈竟くっきょう壮佼わかものゐて、支へて、ふくらかにほろをあげをり候。
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
既に幾処いくところの実景の夢と符合するさへ有るに、またその殊に夢の夢なる一本ひともと百合のここに在る事、畢竟ひつきよう偶合に過ぎずとは謂へ、さりとては余りにかの夢とこの旅との照応急に、因縁深きに似て
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
まへに、幾処いくところか、すさまじきとびらおもふ、大磐石だいばんじやく階壇かいだんは、たきだんかずおとしかけ、つるたきは、自動車じどうしやそらる。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
自動車は、既に海に張出した石の欄干を、幾処いくところか、折曲り折曲りして通っていた。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もとより幾処いくところにもはしがある。みな大木たいぼくかゝり、巨巌きよがんはだへ穿うがつ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)