幸村ゆきむら)” の例文
さすが後年こうねんやまに身をかくしても、隠然いんぜん天下におもきをなした大軍師だいぐんし幸村ゆきむら、わかい時から人の知らない心がけがあった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
造酒は、かたわらの愛刀、阪東ばんどうろう幸村ゆきむらって野分のわけの称ある逸剣を取って、ニヤニヤ笑いながら、「金打きんちょうしよう」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
幸村ゆきむらゆきっていう字。」
御身 (新字新仮名) / 横光利一(著)
それもただ、地のけんを守って、生きながらえていようというだけの消極的なものではなく、昌幸も次男の幸村ゆきむらも、実は、鬱勃うつぼつたる雄心ゆうしんを蔵していた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
月叟げっそう伝心——九度山の幸村ゆきむらは、あの時、権之助を一見すると、さすがにすぐ、権之助の人となりを知ってくれた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
九度山の幸村ゆきむら、漂泊の豪士後藤基次もとつぐ、徳川家に取って、神経にさわる人間は皆、世のなかを韜晦とうかいして、そして努めて、人目につかない暮しを、法則としている。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その前に「関東の諜者ちょうじゃ」という疑惑の下に、九度山衆の手であやめられてしまえば、これはもはや救いも交渉の余地もないことだが、聡明なる幸村ゆきむら父子の目にとまれば、そんな嫌疑は
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、上田の真田昌幸さなだまさゆきや、その子幸村ゆきむらなどの一族は、がんとして、これに抗し
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、のちの大軍師だいぐんし幸村ゆきむらも、この時はまだ才蔵さいぞうよりも大九郎よりも後輩こうはいであったし、上田城うえだじょう城主じょうしゅ昌幸まさゆきの子とはいいながら、質子ちしとしてきている身分みぶんなので、なにかにつけて肩身かたみがせまい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幸村ゆきむらくところはこうだった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)