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左舷船尾
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さげんせんび
『あれが
見えませんか、あれが、あの
悲慘なる
信號の
光を
見て
何とも
感じませんか。』とばかり、
遙かに
指す
左舷船尾の
海上。
私は『あツ。』と
叫んだまゝ
暫時開いた
口も
塞がらなかつたよ。
今迄は
少しも
心付かなかつたが、
唯見る、
我弦月丸の
左舷船尾の
方向二三
海里距つた
海上に
當つて、また一
度微な
砲聲の
響と
共に、タール
桶、
油樽等を
燃燒すにやあらん、
㷔々たる
猛火海を
照して