左舷船尾さげんせんび)” の例文
一等運轉手チーフメートいそがはしく後部甲板こうぶかんぱんはしつたが、たちま一令いちれいけると、一個いつこ信號水夫しんがうすゐふは、右手ゆんでたか白色球燈はくしよくきうとうかゝげて、左舷船尾さげんせんびの「デツキ」につた。
『あれがえませんか、あれが、あの悲慘ひさんなる信號しんがうひかりなにともかんじませんか。』とばかり、はるかにゆびさ左舷船尾さげんせんび海上かいじやうわたくしは『あツ。』とさけんだまゝ暫時しばらくいたくちふさがらなかつたよ。
今迄いまゝですこしも心付こゝろづかなかつたが、たゞる、わが弦月丸げんげつまる左舷船尾さげんせんび方向はうかう二三海里かいりへだゝつた海上かいじやうあたつて、また一かすか砲聲ほうせいひゞきともに、タールおけ油樽等あぶらだるとう燃燒もやすにやあらん、㷔々えん/\たる猛火まうくわうみてらして