小浪こなみ)” の例文
もっともなことだ。絵とちがって彫物は、等身大となると手本が入要であろう。多与里たより小浪こなみ梅野うめののうち、その方望みの一人を貸しつかわす」
大浪おほなみ小浪こなみ景色けしきなんだ。いまいままでぼくをよろこばして自然しぜんは、たちまちのうちなん面白味おもしろみもなくなつてしまつた。ぼくとは他人たにんになつてしまつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いや困った小浪こなみ御寮ごりょうだ。小浪といえば、ねエお豊、ちっと気晴らしに京都にでも行って見んか。そらアおもしろいぞ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
ところで、本山図書には男子がなく、小浪こなみという娘が一人なので、当然道場の跡目ということが問題になっていた。
初午試合討ち (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
力弥りきやとしては、兵馬に少し骨っぽいところがあり、小浪こなみとしては、この女に少しあぶらの乗ったところがあるようだが、誰がどう見ても、尋常の旅とは見えないでしょう。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その頃の元園町もとぞのちょうには料理屋も待合も貸席もあった。元園町と接近した麹町こうじまち四丁目の裏町には芸妓屋げいしゃやもあった。わたしが名を覚えているのは、玉吉たまきち小浪こなみなどという芸妓で、小浪は死んだ。
思い出草 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
先ずとなせ小浪こなみ道行姿みちゆきすがた心に浮ぶも可笑おかし。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
庄吉 けふは山科の隱れ家へ戸南瀬となせ小浪こなみをお連れ申しました。
近松半二の死 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)