寐転ねころ)” の例文
旧字:寐轉
此所こゝは夏の初めになると苜蓿うまこやしが一面に生える。与次郎が入学願書を持つて事務へた時に、此桜のした二人ふたりの学生が寐転ねころんでゐた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
 砂川に出で涼みてをれば涼しくもあり、かつは余り砂川の清らさにまくらをかりてこの河原表かわらおもての砂の上に寐転ねころびたしとの意にて軽妙なる句なり。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
連れて行きたくば何処へでも連れて行け、うちも道具も何も入らぬ、どうなりともしろとて寐転ねころびしまま振向んともせぬに、何の家も道具も無い癖に勝手にしろもないもの
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
半裸体はんらたいの女が幾人となくごろごろ寐転ねころがっている部屋へ、無断で闖入ちんにゅうしても、風紀を紊乱びんらんすることの出来るような体力は既に持合もちあわしていないものと、見做みなされていたと言ったなら
勲章 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
代助は其晩わざと雨戸あまどかずにた。用心と云ふ恐れがかれあたまには全くかつた。彼は洋燈ランプして、蚊帳かやなかひと寐転ねころびながら、くらい所から暗いそらかして見た。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「いや、もう大弱りだ」と云いながら、誠吾は寐転ねころんでしまった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「いや、もう大弱りだ」と云ひながら、誠吾は寐転ねころんで仕舞つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)