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子刻
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ここのつ
ふりがな文庫
“
子刻
(
ここのつ
)” の例文
やがて
子刻
(
ここのつ
)
、上野の鐘が
五月雨
(
さみだれ
)
の空に籠って聞えて来ると、見馴れた場所柄とも思えぬ、不思議な不気味さが犇々と長次の身に迫ります。
新奇談クラブ:06 第六夜 人形の獄門
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お
園
(
その
)
か。」とやさしく種彦は机の上に肱をついたまま
此方
(
こなた
)
を顧み、「おッつけもう
子刻
(
ここのつ
)
だろうに
階下
(
した
)
ではまだ寝ぬのかえ。」
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「とどけて、ください。
子刻
(
ここのつ
)
ごろ、下ッ引が部屋の窓下へ来ますから、どうかそれに、……渡してやって……」
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
今しがた霊山の
子刻
(
ここのつ
)
を打った、これから先が
妖物
(
ばけもの
)
の夜世界よ。と一同に
逡巡
(
しりごみ
)
すれば
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「宵から急ぎの仕事を片付けて、発ったのは
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)だいぶ過ぎでしたよ。どうかしたら子刻半(一時)近かったかも知れません」
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
もう
子刻
(
ここのつ
)
に近い。
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それは
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)近い時分でした。両岸の灯も消え、吉原通いの
猪牙舟
(
ちょきぶね
)
の音も絶えて、隅田川は真っ黒に更けて行きます。
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ちょうど
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)、上野の鐘がかすかに余韻を引いて鳴り止むと、どこからともなく、ユラリと出て来た者があります。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)近くになってから、女の声で、——お宅の坊ちゃんを見つけて
伴
(
つ
)
れて参りましたと言って来た者があります。
銭形平次捕物控:036 八人芸の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「とんでもない。
子刻
(
ここのつ
)
の鐘を聴いて、それを合図に裏口から入れて貰って、朝の
卯刻
(
むつ
)
(六時)の鐘を合図にそっと脱け出す寸法なんで、へッ」
銭形平次捕物控:061 雪の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
夜の短い時分で、寅刻過ぎというと、すっかり明るくなっているはず、根岸から
子刻
(
ここのつ
)
過ぎに出ると五里近い道を
辿
(
たど
)
り着くのが精一杯でしょう。
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「今夜、正
子刻
(
ここのつ
)
に庭先まで忍んで参る。娘御の寝所から、あまり遠くない雨戸を一枚明けて、そっと引き入れて貰い度い」
新奇談クラブ:03 第三夜 お化け若衆
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
おとといは三月の
晦日
(
みそか
)
で、夜中近くまで弟の金次郎を相手に帳面を調べ、それから
姪
(
めい
)
のお豊の
酌
(
しゃく
)
で珍しく一杯呑んで寝たのは
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)過ぎ。
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
幸い、綾吉の長屋のツイ三四間先は番太の小屋で、
子刻
(
ここのつ
)
前は油障子を開けて、親爺は草履などを作っているのでした。
銭形平次捕物控:026 綾吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
明日は早いから——と、親類達を帰した後、親子水入らずに別れを惜しんで、お菊が床へ入ったのはやがて
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)近くになってからでした。
奇談クラブ〔戦後版〕:10 暴君の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
上野の
子刻
(
ここのつ
)
の鐘が、その最後の余韻を闇の中に納めると、石田清左衛門は、かねて用意した席へピタリと坐りました。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
酉刻
(
むつ
)
半(七時)から
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)前まで、どこに居たか証人を立てて申上げなきゃ、まず助かる見込みはあるまいよ
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もう
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)近いでしょう。街は灰を
撒
(
ま
)
いたように鎮まって、
朧月
(
おぼろづき
)
の精のように、ヒラヒラと飛んで来る
花片
(
はなびら
)
。
銭形平次捕物控:075 巾着切りの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「御町内の衆五六人と川崎へ詣り、戻ったのは
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)近かったと思います。品川でさんざん飲んだ酔も覚めて、ヘトヘトに疲れておりました」
銭形平次捕物控:277 和蘭の銀貨
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それじゃこうしましょう。志賀様には御先代から並々ならぬお世話になった私です。その御恩返しのつもりで、お長屋の格子へ、今夜
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)を
銭形平次捕物控:078 十手の道
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その時ちょうど、上野の
子刻
(
ここのつ
)
が鳴ったのを、お礼はこの動乱の中に、不思議に
活
(
い
)
き
活
(
い
)
きと記憶していたのでした。
銭形平次捕物控:087 敵討果てて
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
昨夜
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)少し過ぎ、いかにもここへ乗込んで来たに相違はない——が、その時はもう万事終っていた。
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「寺男と小坊主が二人、時々顔を出したが、それも宵のうちだけで、
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)過ぎは辰蔵一人になった」
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
夜の見廻りは丁寧で、どうかすると半刻もかかることがありますが、それにしてもあんまり遅いので、
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)近くになってから、幸吉さんが様子を
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「八日と十三日と十八日の晩——。宵から
子刻
(
ここのつ
)
前まで、仲吉さんと、私は、——あの、裏の
納屋
(
なや
)
に居りました」
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
同じ夜、
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)過ぎ、
永代
(
えいたい
)
のあたりから
漕
(
こ
)
ぎ上がった
伝馬
(
てんま
)
が一
艘
(
そう
)
、浜町河岸に来ると、船頭が
舳
(
とも
)
の
灯
(
ひ
)
を外して、十文字に二度、三度と振りました。
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、半通夜で疲れていたので
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)過ぎは何にも知らないと言うだけ、薄雲との関係を訊かれると
銭形平次捕物控:061 雪の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
安倍丹之丞の屋敷はすぐ解りましたが、厳重に門が閉っていて、
子刻
(
ここのつ
)
近い刻限では入れようはありません。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
幸い聟の錦太郎は
浅傷
(
あさで
)
だ、
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)前に祝言の杯事をして、死んで行く娘を安心させようというのだ
銭形平次捕物控:100 ガラッ八祝言
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
金蔵がたった一人で、私の書いた文句の場所を測り出し、私に構わず掘り出しました。——
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)から始めて
丑刻
(
やつ
)
半(三時)頃までに三尺も掘ったでしょう。
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「主人は日光へ行って留守ですし、私一人では淋しかったので、
階下
(
した
)
の部屋に休んでいると、
子刻
(
ここのつ
)
過ぎになってから、縁側の戸をトントンと軽く叩く者がありました」
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その晩
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)過ぎ、黒木長者の厳しい土塀、ちょうど人肌地蔵の上のあたりへ、星空を背景にして、屋敷の内側から浮き上がるように
攀
(
よ
)
じ登った者があります。
銭形平次捕物控:009 人肌地蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの晩、誰も主人殺しでないという確かな証拠を持っていないのに、たった一人だけ、
子刻
(
ここのつ
)
から
卯刻
(
むつ
)
まで
他所
(
よそ
)
に居たという確かな証拠(
現場不在証明
(
アリバイ
)
)を持った人間が居る。
銭形平次捕物控:061 雪の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次が八丁堀から升屋へ帰ったのは、その晩の
子刻
(
ここのつ
)
過ぎでした。昨夜も一睡もしないのに、大した疲れた様子もなく、手掛けた事件を、一気に片付けようとするのでしょう。
銭形平次捕物控:049 招く骸骨
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「私の娘達と一緒に、とんだ夜更しをして、
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)近くなって寝たそうだが——」
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
拭いて、そのまま入って寝みましたが、その時はもう
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)過ぎだったと思います
銭形平次捕物控:277 和蘭の銀貨
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「夜っぴて飛んで歩くつもりだったが、いい
塩梅
(
あんばい
)
に、
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)前にみんな解ったぜ」
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)近くまで飛び廻る子分に対してそれは平次のささやかな
犒
(
ねぎら
)
い心でした。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)でしょう。——ところで親分。やはりあれは殺されたんでしょうか」
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
植幸が号令をかけて、離屋の庭に勢揃いをしたのは、かれこれ
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)——。
銭形平次捕物控:026 綾吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)が鳴ってから寝付きましたから、
丑刻
(
やつ
)
(二時)近かったかも知れません。変な音がして眼が覚めると
有明
(
ありあけ
)
の
行灯
(
あんどん
)
の前に、真っ黒な男が立っているじゃありませんか」
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「与次郎は何をしていたろう、
亥刻
(
よつ
)
から
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)の間の事を聴きたいが——」
銭形平次捕物控:060 蝉丸の香炉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「灯を消したのは、幽霊の真似をして忍んで来るお喜多と逢引するためだったろう。それはよく解るが、
子刻
(
ここのつ
)
過ぎに死骸を見つけた時、灯がカンカン点いていたのはどうしたわけだ」
銭形平次捕物控:026 綾吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
表の格子戸を押し倒して、八五郎が飛込んで来たのは、
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)近い頃でした。その刻限まで、寝もやらずに待っていた平次はこの時ばかりは冗談を言う余裕もなく飛出しざま
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その離屋から、
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)過ぎになって、思いも寄らぬ火事が起ったのです。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)過ぎの店中は、さすがに寝静まって、コトリとも音がしません。
銭形平次捕物控:049 招く骸骨
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「有難うございます。とんだお手数をかけて相済みませんが、綱吉親分が手前どもの店を出たのは
子刻
(
ここのつ
)
少し前で、とんだ好い機嫌でございましたが、まさか、あんな事になろうとは——」
銭形平次捕物控:013 美女を洗い出す
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
下手人は昨夜の
子刻
(
ここのつ
)
過ぎ、宗次郎が帰った後へ行って、宗次郎の脇差で一と思いにやった後、二百両の金をどこかに隠し、脇差を溝にさし込み、わざと見付かるように柄だけ出して落いた
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
止しましたが、昨夜
子刻
(
ここのつ
)
過ぎに、巴屋から急の使いでしょう。行って見ると、路地の中で、あの五人のうちでも、一番美しいと言われたお房が、背中を突かれて死んでいるじゃありませんか
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
でも、
子刻
(
ここのつ
)
(十二時)過ぎに小用に起きたんですから少しはぼんやりしていたことでしょう。首へそれを投げかけられた時はなんか——手拭掛けが首へ
絡
(
から
)
まったくらいに思っていたんです。
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
刻
常用漢字
小6
部首:⼑
8画
“子刻”で始まる語句
子刻半
子刻過
子刻頃