天下てんが)” の例文
ここにて、この条条を極めさとりて、かんのう(堪能)になれば、定めて天下てんがにゆるされ、めいぼう(名望)を得つべし。
するのに棒がねえから貸しておくんねえって断って持って往ったから縛られるこたアねえ、天下てんがの道具だから貸してもいだろう、わっち天下てんかの町人だ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
左樣いへば植村樣が無かつたら天下てんが泰平に納まつたものを、あゝ浮世は愁らいものだね、何事も明すけに言ふて除ける事が出來ぬからとて、お倉はつく/″\儘ならぬを傷みぬ。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「あのような女性を召されては天下てんがの乱れにもなろうと信西入道が申されました」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しん趙高てうかう、漢の王莽わうまうりやう朱异しゆい、唐の禄山、これらはみな旧主先皇せんくわうまつりごとにもしたがはず、楽しみを極めいさめをも思ひ入れず、天下てんがの乱れん事をさとらずして、民間のうれふる所を知らざりしかば
……よ、よ、これが最後なごりぢゃぞ! かひなよ、け、これが最後なごりぢゃ! おゝ、いきくちびるよ、ひといのち長永とこしなへ買占かひしむる證文しょうもん天下てんがれた接吻せっぷん奧印おくいんせよ!……(毒藥の瓶を取り出し)さ、
こちゃ登り詰めたるやまけの「ま」がければ残るところの「やけ」となるは自然の理なり俊雄は秋子に砂浴びせられたる一旦の拍子ぬけその砂はらに入ってたちまちやけの虫と化し前年より父が預かる株式会社に通い給金なり余禄よろくなりなかなかの収入とりくちありしもことごとくこのあたりのみぞ放棄うっちゃ経綸けいりんと申すが多寡が糸扁いとへんいずれ天下てんが
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
それは局外者ばかりでなく、新派俳優のあるものは団十郎死去の報を聞くと、その夜新橋辺の料理屋にあつまって、やがて天下てんがを我が物にすべき前祝いの宴会を開いたとか伝えられている。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大きくいえばそれが天下てんがのためである。二つにはそれが自分のためであるとも思っていた。現在のところ、彼がもっぱら頼長の方に傾いているらしく見えるのは、悪魔を退治するがためである。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一応は自身番にとどけ出るのが天下てんがの法である。
半七捕物帳:10 広重と河獺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)