夜空よぞら)” の例文
ちょうど、このとき、一はやくかのじょ出発しゅっぱつをすすめるように、どこかのえきらす汽車きしゃ汽笛きてきおとが、あおざめた夜空よぞらに、とおくひびいたのでした。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まどをおしひらいて、夜空よぞらにしずかにまたたいている星をみあげ、いくどか、おれも透明とうめいになれるんだぞと、くりかえしてつぶやいた。それでいくらか落ちつきをとりもどしたんだよ
無言の星が神秘の夜空よぞらに輝くと、遺傳も運命もそれから出た光線の一部に過ぎない。
神秘的半獣主義 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
ふたりは、このさむい三月の夜空よぞらに、しんぼう強く、長いあいだ待っていました。そのうちに、おばあさんは、ぼつぼつ家の中へもどろうかと考えはじめました。と、ちょうどそのときです。
うで玉子買ひたる歌をおもふとき淺草あさくさ夜空よぞら目にうかび來る
斎藤茂吉の死を悲しむ (旧字旧仮名) / 吉井勇(著)
秋らしき夜空よぞらとおもふ目のまへを光はなちて行く蛍あり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
屋根やねひくいえが、ところどころにありました。おおきな植物しょくぶつが、こんもりとして、うみほうからいてくるかぜに、うちわをふるように、はたはたと夜空よぞらおとをたてています。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)