壮図そうと)” の例文
この壮図そうとには、かねて信長と攻守同盟を結んでいる三河の徳川家康(前・松平元康)も、手勢一千人を派して参加した。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、そのまた酷暑の中に、汗を流して働く快味もあれば、山に登り海に遊ぶ涼味もあるのであります。酷寒といえども、雪の野山をわた壮図そうともあり、大炉をくゆらして語る快味もあるのであります。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
一時行ったと同じ壮図そうとを実行することは出来ないであろう。
閣下がこの度、北平(河北省・満城附近)の征伐を思い立たれたご壮図そうとに対しては、自分からも満腔の誠意をもって、ご必勝を祈るものであります。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
壮図そうと覆滅ふくめつはもちろん、一味堂上の人々、盟約のある諸侯、みな断絶か自滅か、アア、それ以外にえらぶ道はない
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今まで懸命に、意志を支えていたものが、グラグラと揺れだして、極度に、重喜の壮図そうとをおびやかしてきた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
壮図そうとむなしく曹丕そうひが引き揚げてから数日の後、淮河わいが一帯をながめると縹渺ひょうびょうとして見渡すかぎりのものは、焼け野原となった両岸の芦萱あしかやと、燃え沈んだ巨船や小艇の残骸と
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうした運命を招いた時の使命はなんだったか! 鳴門のうずと剣山の雲におおわれていた徳島城の大秘密をあばいて、天下をアッといわせようという壮図そうとに燃えていたのではないか。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「では当時にも、天草乱後のきょをうかがって、徳川討伐の壮図そうとがあったのでござろう」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
われに越王勾践えつおうこうせん忍苦にんくあり、帷幕いばく民部みんぶ咲耶子さくやこ蔦之助つたのすけあり、忍剣にんけん龍太郎りゅうたろう驍勇ぎょうゆうあり、不倶戴天ふぐたいてんのあだ徳川家とくがわけを討ち、やがて武田再興たけださいこうの熱願、いな、天下掌握しょうあく壮図そうと、やわか
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
壮図そうとを抱く勇者たる者は、もっと事に当って、果断であって欲しいものだ
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「では、阿波殿には、討幕の壮図そうと、やぶれるものとみておられますか」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あわよくば異海三千里の外に壮図そうとを挙げるのも面白かろうではないか。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてせっかくな壮図そうとも、乱脈な状におちいるしかない。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)