塀際へいぎは)” の例文
塀際へいぎはにゐた岡田は、宇津木の最期さいごを見届けるやいなや、塀に沿うて東照宮とうせうぐう境内けいだいへ抜ける非常口に駆け附けた。そして錠前ぢやうまへ文鎮ぶんちんけて、こつそり大塩の屋敷を出た。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
見ると丁度店の左の方の庭の外の塀際へいぎはで、妹と傳次郎が掴み合つてゐるぢやありませんか。
はなして退すさると、べつ塀際へいぎはに、犇々ひし/\材木ざいもくすぢつてならなかに、朧々おぼろ/\とものこそあれ、學士がくし自分じぶんかげだらうとおもつたが、つきし、あしつちくぎづけになつてるのにもかゝはらず、影法師かげぼふし
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
塀際へいぎはに添ひて人のかたち動くと見えしが、なほ暗くて了然さだかならず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「そして、塀際へいぎはますんですね……しやがんで、」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)