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堤下
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どてした
ふりがな文庫
“
堤下
(
どてした
)” の例文
そのうちにこの俄雨で、
堤下
(
どてした
)
の親類まで傘を借りに行つてまゐりました。お孃樣は梅若の茶店で、雨宿りをしておいでなされます。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
僕は、声を限りに呼ばはつたが、ミツキイは
堤下
(
どてした
)
のもろこし畑に逃げ込んだモモンガアを追ひまくつて、
切
(
しき
)
りに短銃の音を響かせてゐた。
山男と男装の美女:ミツキイのジヨンニイ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
作右衞門という
老人
(
としより
)
が名主役を勤めており、多助は
北阪
(
きたさか
)
の村はずれの
堤下
(
どてした
)
に
独身活計
(
ひとりぐらし
)
をしているというから遣って参り
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これらの徒は地方によって、或いは山の者・谷の者・野の者・島の者・
堤下
(
どてした
)
などとも呼ばれているが、いずれも皆同一理由から得た名と解せられる。
サンカ者名義考:――サンカモノは坂の者
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
向島の
言問
(
こととい
)
の手前を
堤下
(
どてした
)
に
下
(
お
)
りて、
牛
(
うし
)
の
御前
(
ごぜん
)
の鳥居前を
小半丁
(
こはんちょう
)
も行くと左手に少し引込んで
黄蘗
(
おうばく
)
の禅寺がある。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
それを手にして
堤下
(
どてした
)
を少しうろついていたが、何か
掘
(
ほ
)
っていると思うと、たちまちにして春の日に光る白い小さい球根を五つ六つ
懐
(
ふところ
)
から出した半紙の上に
載
(
の
)
せて
戻
(
もど
)
って来た。
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
家も無いものだから今の
堤下
(
どてした
)
に
乞食
(
こじき
)
の住むやうな小屋を造つて、其処に気の合つた悪党ばかり寄せ集め、米が無くなると、何処の家にでもお構ひなしに、一升米を貸して呉れ、二升米を貸して呉れと
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
堤下
(
どてした
)
の田圃では昼でも蛙がそうぞうしくきこえた。その堤下の小料理屋から二人づれの男が出て来た。
半七捕物帳:62 歩兵の髪切り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
地方に於いて今も
山家
(
さんか
)
の徒が、河原や、
堤下
(
どてした
)
や、藪蔭・墓場などに、小屋掛け・テント張りをして住んでいる様子を見ますと、昔の有様も想像せられるのであります。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
我
(
わが
)
罪を隠そうが為に、土手の甚藏を
欺
(
あざむ
)
いて根本の聖天山の谷へ
突落
(
つきおと
)
し、上から
大石
(
たいせき
)
を突転がしましたから、もう甚藏の助かる
気遣
(
きづかい
)
は無いと安心して、二人差向いで、
堤下
(
どてした
)
の
新家
(
しんや
)
で一口飲んで
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お紺はよんどころなく商売をやめて、そこらを流れ渡っているうちに、吉原の或る女郎屋の
妓夫
(
ぎゆう
)
と一緒になって、よし原の
堤下
(
どてした
)
の
孔雀長屋
(
くじゃくながや
)
に世帯を持つことになった。
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三囲
(
みめぐり
)
の
堤下
(
どてした
)
を歩いていると、一軒の農家の前に十七、八の若い娘が白い
手拭
(
てぬぐい
)
をかぶって、今書いたばかりの「久松るす」という女文字の紙札を軒に貼っているのを見た。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三囲
(
みめぐり
)
の
堤下
(
どてした
)
を歩いていると、一軒の農家の前に十七、八の若い娘が白い手拭をかぶって、今書いたばかりの「久松るす」という女文字の紙札を軒に貼っているのを見た。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
姉のお北の死骸が江戸川に浮かびあがった時、弟の瓜生長三郎は向島の
堤下
(
どてした
)
をあるいていた。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その小僧のお尻の両方に銀のような二つの眼玉がぴかりと……。わたくしはぎょっとして立ちすくみますと、お武家はすぐにその小僧の襟首を引っ掴んで
堤下
(
どてした
)
へほうり出してしまいました。
半七捕物帳:19 お照の父
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
豊吉のいった通り、浅草寺の入相の鐘が秋の雲に高くひびいて、紫という
筑波山
(
つくば
)
の姿も、暮れかかった川上の遠い空に、薄黒く沈んでみえた。
堤下
(
どてした
)
の田圃には秋の蛙が枯れがれに鳴いていた。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
堤下
(
どてした
)
の
浄閑寺
(
じょうかんじ
)
で
夕
(
くれ
)
の勤めの
鉦
(
かね
)
が途切れとぎれに聞えた。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
堤
常用漢字
中学
部首:⼟
12画
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“堤下”で始まる語句
堤下摘芳草