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四條
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しでう
二人は
毎晩の
樣に
三條とか
四條とかいふ
賑やかな
町を
歩いた。
時によると
京極も
通り
拔けた。
橋の
眞中に
立つて
鴨川の
水を
眺めた。
東山の
上に
出る
靜かな
月を
見た。
彼は
學友の
誰彼に
萬遍なく
安井の
動靜を
聞いて
見た。
然し
誰も
知るものはなかつた。たゞ
一人が、
昨夕四條の
人込の
中で、
安井によく
似た
浴衣がけの
男を
見たと
答へた
事があつた。