かま)” の例文
時刻は暮に近い頃だったから、日の色はかわらにもむねにも射さないで、まぼしい局部もなく、総体が粛然しゅくぜんかまびすしい十字のまちの上に超越していた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
咽を鳴らす音、めしをかむ歯の響き、汁を吸う舌打ち、がぶがぶあおる大盃に吐くため息。しばしがほどは、銀座街頭の跫音雑声よりもかまびすしい。
食指談 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
一般社会に普選ということが問題とされかまびすしかったおり、あなたもまた、婦人参政権を求め、婦人もまた一個の人間としての扱いを要求し、めざましい御活動で
平塚明子(らいてう) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
なし是より三人づれにて丸龜城下なる後藤半四郎の方へといたりけり又後藤方にては此日は丁度ちやうど稽古日けいこびにておほく門弟もんていあつま竹刀しなひおと懸聲かけごゑかまびしく今稽古けいこ眞最中まつさいちうなる所へ三人は玄關げんくわんかゝ案内あんない
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)