命乞いのちご)” の例文
「こいつらは木津川口でさらし物になっている桂屋太郎兵衛の子供でございます。親の命乞いのちごいをするのだと言っています」
最後の一句 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しかし、ある事件のため、時の王様の怒りに触れて、まさ斬罪ざんざいに処せられんとしたのです。その時、彼は何を思ってか、七日間の命乞いのちごいをいたしました。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
もし重盛しげもり命乞いのちごいをしなかったら、女や幼い者さえものがれることができなかったでしょう。奥方は若君とひめ君とをとものうて鞍馬くらまの奥に身をおかくしなされました。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
わたくしほうでもこころからどくおもいましたから、ときうつさず一しょう懸命けんめいになって神様かみさま命乞いのちごいの祈願きがんをかけましたが、何分なにぶんにも相当そうとう手遅ておくれになってりますので、神界しんかいから
宮内くない命乞いのちごいにその首だけはやっとつながった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへけさになって、宿直の与力よりきが出て、命乞いのちごいの願いに出たものがあると言ったので、佐佐はまずせっかく運ばせた事に邪魔がはいったように感じた。
最後の一句 (新字新仮名) / 森鴎外(著)