吹荒ふきすさ)” の例文
急に室内は暗くなって来た、風は急に吹荒ふきすさんで来た。ブラウンは卓子テーブルに添うて蝋燭の束が他のゴミゴミした蒐集品の中に転がっているところへ来た。
吹荒ふきすさぶ風、いやりとした、しめっぽい雲、焼けつくような太陽、といったようなものが、交代でハーキュリーズを苦しめるのだから、たまりません! 彼は
戸叩く音はのちたゆまず響きたりしが、直行の裏口より出でてうかがひける時は、風吹荒ふきすさかどの梅の飛雪ひせつの如く乱点して、燈火のほのかに照す処その影は見えざるなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この途端、青嵐あおあらしというには余りに凄かった。魔風と云おうか、悪風と去おうか、突如として黒姫おろしが吹荒ふきすさんだ。それに巻上げられた砂塵すなぼこりに、行列の人々ことごとく押包まれた。
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
それは、アバディーン地方特有の東北風が連日、雨とひょうとを伴って吹荒ふきすさ沈鬱ちんうつな八月であった。スティヴンスンの身体は例によって悪かった。或日エドモンド・ゴスが訪ねて来た。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
北も南も吹荒ふきすさんで、戸障子をあおつ、柱をゆすぶる、屋根を鳴らす、物干棹ものほしざお刎飛はねとばす——荒磯あらいそや、奥山家、都会離れた国々では、もっとも熊を射た、鯨を突いた、たたりの吹雪に戸をして
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
魔風にわか颯々さつさつ吹荒ふきすさみ、たきのごとくに
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
きたりたるころ魔風まふうにはか颯々さつ/\吹荒ふきすさ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)