のち)” の例文
右の字鏡じきやうありてのち二十年をて、源の順朝臣したがふあそんの作りたる和名類聚抄わみやうるゐじゆせうありき、是も字書じしよ也。元和の年間ころ那波道円なばだうゑん先生はじめて板本とせられたり。
下学集より五十三年ののち明応めいおう五年林宗二(堺の町人)節用集せつようしふを作り、文亀ぶんきのころの活字本くわつじぼんあり。これいろは引節用集の権輿はじまり也。
はたしてさけあまたえしゆゑ鵜飼うかひ謡曲うたひにうたふごとくつみむくひのちわすれはてゝ、おもしろくやゝ時をぞうつしける。
かくてのちおとゝ別家べつけする時家の物二ツにわかちて弟にあたへんと母のいひしに、弟は家財かざいのぞまず光る石を持去もちさらんといふ。
されば本文にもいへるごとくかりそめにいひすてたる薬欄やくらんの一句の墨痕ぼくこんも百四十余年ののちにいたりて文政の頃白銀の光りをはなつぞかし、論外不思議ろんぐわいふしぎといふべし。
此文段は天明年中蔵石ざうせきの世に流行はやりたる頃加嶋屋がはなしをそのまゝに春暉しゆんきのちにしるしたるなるべし。