内海うちうみ)” の例文
「筑前、筑前。そんな所をいくら見ていても日本はないぞ。その辺りは、羅馬ローマ西班牙スペイン、また、埃及エジプトなどという国々のいておる内海うちうみ——」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
美事な日本晴れの朝凪あさなぎで、さしもの玄海灘が内海うちうみ外海そとうみかわからない。絶影島まきのしまを中心に左右へ引きはえる山影、岩角がんかくは宛然たる名画の屏風びょうぶだ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
静かな内海うちうみをへだてて、細長いみさきの村はいつものとおり横たわっている。そこに人の子は育ち、羽ばたいている。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
「なあに、大したことがあるもんですか、どっちへ転んだって内海うちうみじゃございませんか、これだけの船が、内海で間違いなんぞあるはずのものじゃございませんよ」
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
内海うちうみの青畳、座敷へ入ったもおんなじじゃ、と心が緩むと、嘉吉が、酒代を渡してくれ、勝負が済むまで内金を受取ろう、と櫓を離した手におあしを握ると、懐へでも入れることか、片手に
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大阪から例の瀬戸内通せとうちがよいの汽船に乗って春海しゅんかい波平らかな内海うちうみを航するのであるが、ほとんど一昔も前の事であるから、僕もその時の乗合の客がどんな人であったやら、船長がどんな男であったやら
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
瀬戸の内海うちうみ、富士の雪
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
内海うちうみ照らす
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
自分たちのえさをさがすために、三十里も遠くの海へ出るんだとさ、そうして帰って来ると、内海うちうみに置いて行かれたオットセイの子が、お乳を飲みに寄って来るが、オットセイの子は
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
柵門に常備の六尺がいないので、駆けこんで、波うち際の桟橋さんばしに立ってみると、湖水のような土佐泊とさどまり内海うちうみ、どッぷりと暗い水上いったいに、御用提灯ぢょうちんをふる無数のかんこ船とかんどり船。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
元来伏木ふしき直江津間の航路の三分の一は、はるかに能登半島の庇護ひごによりて、からくも内海うちうみ形成かたちつくれども、とまり以東は全く洋々たる外海そとうみにて、快晴の日は、佐渡島の糢糊もこたるを見るのみなれば、四面しめん淼茫びょうぼうとして
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)