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兢々
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きょうきょう
ふりがな文庫
“
兢々
(
きょうきょう
)” の例文
されば川島家はつねに戒厳令の
下
(
もと
)
にありて、家族は避雷針なき大木の下に夏住むごとく、戦々
兢々
(
きょうきょう
)
として明かし暮らしぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
新宿八王子間の電車線路工事が始まって、大勢の
土方
(
どかた
)
が入り込み、村は
連日
(
れんじつ
)
戒厳令の
下
(
もと
)
にでも住む様に
兢々
(
きょうきょう
)
として居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
心のなかで彼を
呪
(
のろ
)
うべき苦い理由を持たなかった所がいずこにあったか? 不可解な彼の
暴虐
(
ぼうぎゃく
)
から、私はとうとう戦々
兢々
(
きょうきょう
)
として
疫病
(
えきびょう
)
から逃げるように逃げた。
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
あたかも一握りの黄金を握りしめてる
吝嗇
(
りんしょく
)
家のように、戦々
兢々
(
きょうきょう
)
として自分だけを守ってる愛情だった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
こうなれば、戦々
兢々
(
きょうきょう
)
と、古い名声にかじりついている大家たちも、気楽に新しいものが書けるかも知れず、新進無名もいじけることなしに全力が発揮できるだろう。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
今日は某の貴族が襲われたと、噂は噂を産んで、都の人心は
兢々
(
きょうきょう
)
として安き日もなかったのです。
黒手組
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ただ恐ろしいことには、戦々
兢々
(
きょうきょう
)
としている。その恐怖の念は、反徒らに対するひどい冷淡さを
宥恕
(
ゆうじょ
)
するものである。また酌量すべき情況としては狼狽の念もいっしょにある。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
と、会わないうちからひどく
惧
(
おそ
)
れた。曹彰は操の次男で、兄弟中では武剛第一の男である。察するに、王位を争わんためではないかと、曹丕は邪推して
兢々
(
きょうきょう
)
と対策を考え始めた。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
岩見
(
いわみ
)
武勇伝に出て来る
鎮守
(
ちんじゅ
)
の神——その正体は
狒々
(
ひひ
)
である——の
生贄
(
いけにえ
)
として、
白羽
(
しらは
)
の矢を立てられはせぬかと、戦々
兢々
(
きょうきょう
)
たる娘、及び娘を持てる親たちのような恐れと、哀れとを
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
権謀詭計
(
けんぼうきけい
)
の借拠みたいなものにしてしまって、下の者はまた、いつ不孝という名目のもとに殺されるかわからないので、日夕
兢々
(
きょうきょう
)
として、これ見よがしに大袈裟に親を大事にして
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
常に家にありてわずかに貯えた物を護るに戦々
兢々
(
きょうきょう
)
の
断間
(
たえま
)
なく、
些
(
いささか
)
の影をも怖れ人を見れば泥棒と心得吠え立つるも、もとこの二十年は犬から譲り受けたのだから当然の辛労である。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
居士自身ばかりでなく家族の方々や我々まで戦々
兢々
(
きょうきょう
)
として病床に侍していた。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
高麗丸船上から、この朝、私たちが
瞥見
(
べっけん
)
した、あの
濛々
(
もうもう
)
たる黒煙を吐いていた五、六本の大煙突の立つ真岡工業会社の内部に、私たちは今まさに、
兢々
(
きょうきょう
)
然たる胎内
潜
(
くぐ
)
りをやっているのだ。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
定家は神経質で立身出世を
希
(
ねが
)
いつつ権力者の意向に
兢々
(
きょうきょう
)
としていた男だが
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
向井湯の主人も、命ぜられて
兢々
(
きょうきょう
)
と一同の後に続いて昇って行った。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と、お雪の胸が
兢々
(
きょうきょう
)
としました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
テーブルの上には
珈琲碗
(
かひわん
)
四つ五つ、菓子皿はおおむねたいらげられて、ただカステーラの一片がいづれの少将軍に
屠
(
ほふ
)
られんかと
兢々
(
きょうきょう
)
として心細げに横たわるのみ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
兢
漢検1級
部首:⼉
14画
々
3画
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兢々業々