先供さきとも)” の例文
喜「それではどうも致し方がない、死を極めておいでなすって見れば仕方がないによって、手前此の場で割腹致しお先供さきともを致す」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
先刻容子探りに早駈けさせた両名が先供さきともを承わって、その報告に随い、今日ばかりは素通り出来まいと早くも用意したのか、形ばかりの音物を島台に打ちのせて
「東海道は一本道じゃ。江戸のほうからまいる旅人に気をつけるようにと、先供さきともによく申せよ。どうも余は、今にも主水正から使いがありそうな気がしてならぬ」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
したゝめ翌日をおそしと待請まちうけける時に享保十年十月十六日酒井さかゐ讃岐守殿先供さきともとほり掛らんとする處へ六十ばかりの男と廿三四さいの女の如何にもやつれたる状かみみだし打しほれし有樣ありさまにて竹にさしたる訴訟そしよう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今晩は一人、お先供さきともがあるまでのものです。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
掛し長持ながもち二棹露拂つゆばらひ二人宰領二人づつなり引續ひきつゞきて徒士かち二人長棒の乘物にて駕籠脇かごわき四人やり挾箱はさみばこ草履取ざうりとり長柄ながえ合羽籠かつぱかご兩掛りやうがけ都合十五人の一列は赤川大膳にて是は先供さきとも御長持あづかりの役なり次に天一坊の行列は先徒士九人網代あじろの乘物駕籠脇のさむらひは南部權兵衞本多源右衞門遠藤森右衞門諏訪すは右門遠藤彌次六藤代要人かなめ等なり先箱二ツは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)