佞臣ねいしん)” の例文
昔将軍家治いえはる取入とりいった田沼主殿頭意次たぬまとのものかみおきつぐのように、美男で弁舌が巧みで、その上これは——古今の佞臣ねいしんに共通の特色ですが、曾て人と争うことなく
生ぜしかば主税之助は新參しんざん用役ようやく安間平左衞門立花左仲たちばなさちう其外氣にあひたる佞臣ねいしんどもを集め雪の寒を凌がんと晝より酒宴しゆえん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
義貞と自分との、年来にわたる確執かくしつを述べ、つまるところ、このようなはめになったのも、ひとえに佞臣ねいしん讒口ざんこうによるもので、その張本は義貞であるとし
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
坂本、渡辺、畑、宮本の四人が、家中かちゅうの一部から佞臣ねいしんといわれていたのは事実らしい。現に、陸奥守綱宗むつのかみつなむね遊蕩ゆうとうをすすめたのも、かれら四人だったということだ。
宮中の佞臣ねいしん その後前代法王の事などを私の寄寓して居りました前大蔵大臣から聞いて見ますと、涙のこぼれるような事がある。どうも近臣に不忠の大罪人が多い。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
硬骨漢こうこつかん汲黯きゅうあんが退いた後は、帝を取巻くものは、佞臣ねいしんにあらずんば酷吏こくりであった。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
大脇文衛、三村道友、園原小源太、青木了意、蜂谷礼司、永瀬忠作、江間犬丸、古幡牛丸、島崎惣右衛門、松山五郎哉、綺羅きらを尽くして控えていたが、いずれも口舌の佞臣ねいしんどもであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
(竹中半兵衛重治、ただ今登城——君公に直諫のことこれあるなり。まず、佞臣ねいしんばらに眼にもの見せてくれん)
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
進藤主計は冷酷な人間として定評があった、奸譎かんけつ佞臣ねいしんとさえ云われた。
晩秋 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
曹丕の面は弟の天分に対して、嫉妬しっとの情を隠しきれなかった。佞臣ねいしんの甘言は、若い主君の弱点をついた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……千種どの。これに黙っていては、佞臣ねいしん乱賊の汚名を義貞が自認しているものになる。義貞も一文をばくして内覧に供えたい。そのような前例はどうであろうか」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長坂長閑、跡部大炊あとべおおいなどが、勝頼をおとしいれた佞臣ねいしんという云い伝えは嘘である。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
悪吏の虐政に苦しむ人民のいたみはこんなものじゃないぞ。汝も、廟鼠びょうその一匹だろう。かの十常侍じょうじなどいう佞臣ねいしんの端くれだろう。その醜い面をさらせよ。その卑しい鼻の穴を天日に向けてけっ。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もちろん媚態派の佞臣ねいしんからである。曹操は憤怒して
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
佞臣ねいしんを排されたい」
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
佞臣ねいしんらすべし」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)