作事さくじ)” の例文
諸侯の一人をお作事さくじ奉行に命じて、造営費いっさいを出させるんです。人の金だから、この二十年目のお修復にはじゃんじゃんつかわせた。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
貴殿きでん尊奉そんぽうなさる越後えちご天鼓流てんこりゅうでは、まだ作事さくじ築工ちっこう時勢じせいおくれのところがあるゆえ、それを逆法と思われるかも知らぬが、自分のしんずる越前えちぜん……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
農閑のうかんなので、青年の夜学がはじまる。井浚いどざらえ、木小屋の作事さくじ、屋根のき更え、農具の修繕しゅうぜんなども、此すきにする。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
干潮かんちょうに乗じて作事さくじをしておいて、それから満潮の勢いと喞筒の力で引き揚げるのだそうだ。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
時に明和めいわの元年、勝山の御城主にお成りなさいました粂野美作守さまのお城普請しろぶしんがございまして、人足を雇い、お作事さくじ奉行が出張でばり、本山寺へ入らっしゃいまして方々御見分が有ります。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
老中は酒井侯はじめ、久世侯、土屋侯、板倉侯、稲葉侯、申次もうしつぎとして町奉行の島田出雲守、作事さくじ奉行の大井新右衛門、大目付は大岡佐渡守、目付は宮崎助右衛門、以上の由にございます。
船のことじゃが、三浦安針あんじんのフレガタ船(フリゲート。砲備した商船)に朱印状を添えて売りに出たのを、アンドレア李旦りたんという支那の頭人とうにんが買って作事さくじをし、来月の初旬に大波止おおはとから出る。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
常なら、近習きんじゅう、または表役人を通じてえっすべきなのに、いきなり、各〻作事さくじ支度のわらじばきで、庭先へ平伏したのは、よほど何か狼狽ろうばいしているとみえる。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このときのお作事さくじの模様を書いたものを見ますと、御番所史録ごばんしょしろく
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「御交易の作事さくじをいたすのでござりましょうか」
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
イヤ、お使者の口上こうじょうあいわかった。いずれ当日とうじつまでにだれか人選じんせんして武州ぶしゅうへつかわすであろう。家康いえやすどのによろしくご返事を。どれ、一ツ外濠そとぼり作事さくじを見まわろうか
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)