住込すみこ)” の例文
慶蔵事十余年前麹町辺こうじまちへん通行の折拾ひ候処隠場所かくしばしょにこまり当山満行寺へ住込すみこみ候をさいわい、大木へ上り隠し置き候むね申立て候由。
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
俺は吹屋町の屋敷に住込すみこんで半年になるが、銀座の小南と違って、金座の後藤はしつけが宜いから、年に四両の給料の外には小判のつらも見せたことがねえのだよ、——嘘か本当か知らないが
黄金を浴びる女 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
安政あんせいころ本所南割下水ほんじよみなみわりげすゐんで、祿高ろくだかごくりやうした大御番役おほごばんやく服部式部はつとりしきぶやしきへ、おな本所林町ほんじよはやしちやう家主惣兵衞店いへぬしそうべゑたな傳平でんぺい請人うけにんで、中間ちうげん住込すみこんだ、上州じやうしう瓜井戸うりゐどうまれの千助せんすけふ、とし二十二三のせなあ
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いはれ無く撲殺うちころし村方を逐轉ちくてんして江戸へ出小川町竹田長生院方へ奉公に住込すみこみ奉公中竊鼠々々こそ/\物をぬすため其後麹町へ醫業を開き一時僥倖さいはひを得ると雖もたちま病家びやうかも無なりしより惡漢者しれものあつめて博奕宿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
都会にあこがれて、両親の言うことをきかず、東京市内の知人しりびとをたよって家を飛出とびだし、高輪たかなわある屋敷へ女中奉公に住込すみこんだ。それは年号の変る年の春ごろであった。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
傳平でんべいふもの請人うけにんひとし仲間ちうげん住込すみこんでたのであつた。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)