低頭ていとう)” の例文
九時二十分頃、呂昇が出て来て金屏風きんびょうぶの前の見台けんだい低頭ていとうした。びきは弟子の昇華しょうか。二人共時候にふさわしい白地に太い黒横縞くろよこしま段だらの肩衣かたぎぬを着て居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
卷上まきあぐれば二疊臺にでふだい雲間縁うんけんべりたゝみの上に天一坊威儀ゐぎたゞして着座ちやくざなし大膳が名前を披露に及べば天一坊は言葉ことばすくなにいづれも神妙とばかり大樣の一聲ひとこゑに皆々低頭ていとう平身誰一人おもてを上て顏を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
天下何者にも低頭ていとうしないかれも、大岡越前のためにはとうから身体を投げ出しているのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
生霊いきりょう死霊しりょう、のろい、陰陽師おんようしの術、巫覡ふげきの言、方位、祈祷、物の、転生、邪魅じゃみ、因果、怪異、動物の超常力、何でもでも低頭ていとうしてこれを信じ、これを畏れ、あるいはこれに頼り
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
まねかれける時に越前守低頭ていとうして恐れながら越前守申上候は昨日御逢これ有りし天一坊殿の儀御評議ひやうぎ如何候やうかゞたく參上せりときかれ伊豆守殿のおほせに天一坊殿の御身分の儀昨日拙者どもにも御落胤らくいんに相違なきと存ずればよつて上聞にたつせしにかみにも御覺悟かくご有らせられすみやかに逢度あひたくとの上意なれば近々吉日を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)