伴侶とも)” の例文
昼間見置きし枕辺の聖母の心臓を剣さしとほせる油絵は、解剖図などかけし様にて、あまり心地よき寝覚めの伴侶ともにもあらざりき。
我は身をわがたのもしき伴侶ともによせたり、我またいかで彼を觸れてわしるをえんや、誰か我を導いて山に登るをえしめんや 四—六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
かけ屋佐平次の唯一の伴侶とも、利口者として飼主よりも名の高い、甚右衛門はこうしのような土佐犬であった。
悪疾あくしつに襲わるるもまた忍び得よう。しかし寂しき人生の旅路における唯一の伴侶ともたる妻が自ら信仰を棄てしのみならず、進んで信仰放棄を勧むるに会して、彼の苦痛は絶頂に達したのである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
善良な優しい「ロールヒェン」——エレオノーレ・フォン・ブロイニングは彼より二歳年下とししたであった。彼は彼女に音楽を教え、彼女は彼を詩の理解へみちびいた。彼女は彼の少年時代の伴侶ともだった。
某この年頃諸所を巡りて、数多あまたの犬とみ合ひたれども、一匹だにわが牙に立つものなく、いと本意ほいなく思ひゐしに。今日不意ゆくりなく御身に出逢であいて、かく頼もしき伴侶ともを得ること、まことなき父の紹介ひきあわせならん。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
帽子よ 年ごろの孤獨の伴侶とも 憐れな私の古帽子
山果集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
子ろのたなぞこにしては ままごとの伴侶とも
独楽 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
今日ひと日、語る伴侶ともなく
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
わが孤獨の伴侶ともたりし汝よ
わが伴侶ともに私は約束する
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ことばなく伴侶ともなくたゞふたり、ひとりはさきにひとりはあとに、さながらミノリ僧の路を歩む如く我等は行けり 一—三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
江戸の生活、良人のこと、子供たちのことが、遠い昔の思い出のようにこころに来て、それだけが、かの女の伴侶ともだった。同時に、もう毎日の退屈を、持てあまし出していた。
あの顔 (新字新仮名) / 林不忘(著)
みつけた伴侶ともを 見失はせたもの
独楽 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
ああ 冬の夜の伴侶とも 蟋蟀よ
閒花集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
彼若し伴侶とものためならずは、おそらくはなほ速かに登らむ 七—九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)