休暇やすみ)” の例文
桶屋さんで三百フランのお金を盗られた一件ね。あれは恰度こちらの息子さんが復活祭の休暇やすみで帰っていたときのことなんだからね
情状酌量 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
かうした間にも夏の休暇やすみには必ず山をたづねた。さうして柳河の Tonka John はまたその一郷の罪もない小君主であつた。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
尚お能く先生方の言う事を聞き、勉強を専一にし、寒いから風邪をひかぬようにしろ。そして試験休暇やすみには帰省きせいを待っているとしてあった。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
が、地方としては、これまで経歴へめぐつた其処彼処そこかしこより、観光に価値あたいする名所がおびただしい、と聞いて、中二日なかふつかばかりの休暇やすみを、紫玉は此の土地に居残いのこつた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あるものは又た唱歌の教室に在る風琴の周囲まはりへ——いづれも天の与へた休暇やすみとして斯の雪の日を祝ふかのやうに、思ひ/\のに集つて話した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
これが(おとがひで信吾を指して)退屈をしまして、去年なんぞは貴下あなた、まだ二十日も休暇やすみが残つてるのに無理無体に東京に帰つた様な訳で御座いましてね。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
休暇やすみの日の夕方、私は寂しさに堪えかねてそぞろに長峰の下宿を出たが足はいつの間にか権之助坂を下りていた。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
家は休暇やすみになって帰りさえすれば、それでいいものと私は考えていました。父の後を相続する、それには嫁が必要だからもらう、両方とも理屈としては一通ひととおり聞こえます。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
が、地方としては、これまで経歴へめぐったそこかしこより、観光に価値あたいする名所がおびただしい、と聞いて、中二日ばかりの休暇やすみを、紫玉はこの土地に居残った。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三月の休暇やすみまでは帰って来られないんだ。けれども家にいて姉さん達にいじめられるよりか余程よっぽどましだと思う。学校には乃公位の子供も大勢いるそうだ。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それが頗る妙で、富江が此村へ来てからの三年の間、お正月を除いては、農繁の休暇やすみにも暑中の休暇にも、遂ぞ盛岡に帰らうとしない。それを怪んで訊ねると
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
可愛い倅はごく内気な律儀者で、こないだの復活祭の休暇やすみには、彼女の許へ帰省していた。
情状酌量 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
収穫とりいれ休暇やすみが来た。農家の多忙いそがしい時で、三吉が通う学校でも一週間ばかり休業した。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その夏休暇やすみで歸つた信吾は、さらでだに内氣の妹が、病後の如く色澤つやも失せて、力なく沈んでるのを見ては、心の底から同情せざるを得なかつた。そして慰めた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ったの揉んだのと言ってナカ/\手間がかゝる。出発までにはもう一遍寄り合って相談をするのだそうだ。待ち遠いことだなあ。尤も僕は未だ学校が休暇やすみにならない。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
実は嘘を申しましたので、村の桶屋から三百フランの金を盗ったのは、このわたしでございます……恰度ジュールが復活祭の休暇やすみで帰っていたものですから、あれにそのことを打開うちあけますと
情状酌量 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
もうきに暑中休暇になる。忠公は夏中は避暑に行くんだそうだ。休暇やすみになって毎日乃公と遊ぶとしまいには何んな怪我をするかも知れないから成る丈け早く海岸へ行くんだと言った。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
『アラ、だから貴女も毎日被来いらつしやいよ。これからお休暇やすみなんですもの。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)