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令孃
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ひめ
其顏を
不審げに
仰ぎて、
姉樣人形は
下さるか、
進げますると
僅かに
諾く
令孃、
甚之助は
嬉しく
立あがつて、
勝つた
勝つた。
翠色したヽる
松にまじりて
紅葉のあるお
邸と
問へば、
中の
橋のはし
板とヾろくばかり、
扨も
人の
知るは
夫のみならで、
一重と
呼ばるヽ
令孃の
美色
牛込ちかくに
下宿住居する
森野敏とよぶ
文學書生、いかなる
風や
誘ひけん、
果放なき
便りに
令孃のうはさ
耳にして、
可笑しき
奴と
笑つて
聞きしが、その
獨栖の
理由