亜鉛とたん)” の例文
旧字:亞鉛
みんなつの瀬戸もののエボレツトを飾り、てつぺんにはりがねのやりをつけた亜鉛とたんのしやつぽをかぶつて、片脚でひよいひよいやつて行くのです。
月夜のでんしんばしら (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
亜鉛とたん屋根にパラパラと来る雨の音が聞えなくなりましたからね、随分不断に使った躯ですよ。若い時分にゃ宇都宮まで俥ひいて、日帰りでしたからね。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「青ペン」と言うのは亜鉛とたん屋根に青ペンキを塗った達磨茶屋だるまぢゃやです。当時は今ほど東京風にならず、のきには糸瓜へちまなども下っていたそうですから、女も皆田舎いなかじみていたことでしょう。
温泉だより (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
殊に夕方其の井戸端へお米をぎに行く時は、我ながら我身が顧みられた。片手にお米の入つたばけつを持ち、片手にはこまかな網目の亜鉛とたん底の米あげ桶を抱へて行くのであつた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
栄一から毎日貰ふ小使ひ銭では足らなくて、或時は古釘を拾ひに出て、それを売つて活動写真館の入場料にしたり、或時は他所よそ亜鉛とたん製の桶を盗んで来てはそれを売つて小遣銭にする。
決闘ぢやうに立入る事を拒絶せられた写真師等はうしてむなしく引取るものか、早速さつそく近所の喫茶店キヤツフエから長い梯子はしごを奪ふ様に持出して自転車稽古亜鉛とたん屋根へ沢山たくさんの写真機を据ゑて仕舞しまつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
隣の屋根の上に出てるおおいのある亜鉛とたんの煙筒のためにできてる影だった。
クサンチスはこれより前に、久しい間、或る老人の猶太ユダヤ人に世話をせられて、世をあぢきなく感じてゐたのである。猶太人はこの女を亜鉛とたんに金めつきをした厭な人形の中に交ぜて置いたのである。
クサンチス (新字旧仮名) / アルベール・サマン(著)
水落つ、たたと………‥灰色はひいろ亜鉛とたんの屋根の
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
亜鉛とたんの屋根に、ちよちよと
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
みんなつの瀬戸せともののエボレットをかざり、てっぺんにはりがねのやりをつけた亜鉛とたんのしゃっぽをかぶって、片脚かたあしでひょいひょいやって行くのです。
月夜のでんしんばしら (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
灰色の亜鉛とたんの屋根に
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
からすの義勇艦隊は、その雲にしつけられて、しかたなくちよつとの間、亜鉛とたんの板をひろげたやうな雪の田圃たんぼのうへに横にならんで仮泊といふことをやりました。
烏の北斗七星 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
亜鉛とたんくだ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
烏の義勇艦隊かんたいは、その雲にしつけられて、しかたなくちょっとの間、亜鉛とたんの板をひろげたような雪の田圃たんぼのうえに横にならんで仮泊かはくということをやりました。
烏の北斗七星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)