二八にはち)” の例文
その家の庭に咲き誇った夕顔をせせりに来る蛾の群が時々この芳紀二八にはちの花嫁をからかいに来る、そのたびに花嫁がたまぎるような悲鳴を上げてこわがるので
烏瓜の花と蛾 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
芳紀とし正に二八にはちながら、男女おとこおんな雌雄めおの浪、権兵衛も七蔵も、頼朝も為朝も、立烏帽子たてえぼしというものも、そこらのいわおの名と覚えて、崖に生えぬきの色気なし、なりにもふりにも構わばこそ。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そうかね、二八にはちと見えたが。」
黄村先生言行録 (新字新仮名) / 太宰治(著)
鬼子おにことよべどとびんだるおたかとて今年ことし二八にはちのつぼみの花色はないろゆたかにしてにほひこまやかに天晴あつぱ當代たうだい小町こまち衣通そとほりひめと世間せけんさぬも道理だうりあらかぜあたりもせばあの柳腰やなぎごしなにとせんと仇口あだぐちにさへうはされて五十ごとう稻荷いなり縁日えんにち後姿うしろすがたのみもはいたるわかものは榮譽えいよ幸福かうふくうへやあらん卒業そつげふ試驗しけん優等證いうとうしようなんのものかは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)