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乖離
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かいり
ふりがな文庫
“
乖離
(
かいり
)” の例文
紅葉と
乖離
(
かいり
)
するのは決して本意ではなかったろうが、美妙の見識は既に
眇
(
びょう
)
たる硯友社の一美妙でなくて天下の美妙斎美妙であったのだ。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
……あの面相にしてからが、典型的な
悖徳狂の型
(
モーラル・インサニティ・タイプ
)
で、ああいう
乖離
(
かいり
)
性素質のものこそ、こういう傾向的犯罪を犯しやすいんです。
犂氏の友情
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
将卒を強いて戦わしめんとすれば人心の
乖離
(
かいり
)
、不測の変を生ずる無きを
保
(
ほ
)
せず。諸将争って左するを見て王の怒るも
亦
(
また
)
宜
(
むべ
)
なりというべし。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼と彼らはたがいに不信と、敵意の目で見合っていた。彼はこうした
乖離
(
かいり
)
の一般的な原因を知ってもいたし、また悟ってもいた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
また、もしかすると歴史における人間の現在の段階は肉体と理知のこのような
乖離
(
かいり
)
というところにあるのかもわからない。
抵抗のよりどころ
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
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この制度の中に因習的に住む者が思想感情の
乖離
(
かいり
)
と、物質的福利の争奪と嫉妬とに由って、常に複雑にして醜悪な小人的の私闘を絶たない事は
激動の中を行く
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
これを
乖離
(
かいり
)
することは甚だ困難である以上、料理もまた虚々実々の真骨髄に触れるところがなければならないのは、言うまでもないことであろう。
日本料理の要点:――新雇いの料理人を前にして――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
法王を
仆
(
たお
)
せ!(そのころ万事が皆ローマと
乖離
(
かいり
)
していたのである。)余はただ皇帝のためにのみ尽さんとするなり。
云々
(
うんぬん
)
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
津川はその調子から、彼女が自分の眼を求めているのを知って、抑えきれぬ気持の
乖離
(
かいり
)
を感じながら
頷
(
うなず
)
いた。
正体
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
けだしこの二者はつねに相携え、相伴い、いまだかつて一日も相
乖離
(
かいり
)
したることあらず。ゆえにわが邦においてはただ公平至当一様にこれを伸ばすべきのみ。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
鶴見の読後感には何かそういった思想の
乖離
(
かいり
)
があった。よそよそしさがあった。それを長い間どうすることも出来ないでいた。鴎外は他を言っているのではなかろうか。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
そういうのが、イスラエル民族と彼との最初の
邂逅
(
かいこう
)
であった。他の民族と
乖離
(
かいり
)
してるこの強健な民族のうちに、彼はおのれの戦いの味方を見出し得ることと思っていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
事は成らずして
畢竟
(
ひっきょう
)
再び母とわれとの間を前にも増して
乖離
(
かいり
)
せしむるに過ぎざるべきを思いぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
倫理面に活動するていの文芸はけっして吾人内心の欲する道徳と
乖離
(
かいり
)
して栄える訳がない。
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
然しながら、古典的は本来どこまでも歴史的と相背反するのではなからうか。その手法はグンドルフと甚だ相違するにせよ、シュトリヒも同じく古典的と歴史的との
乖離
(
かいり
)
を説いてゐる。
ゲーテに於ける自然と歴史
(新字旧仮名)
/
三木清
(著)
しかし本当とか
嘘
(
うそ
)
とかいうことと信ずることとが完全に
乖離
(
かいり
)
した考え方はちょっとむつかしい。私が小学校時代を
過
(
すご
)
した家には、あらゆる意味で、現代風な物の考え方というものは全然なかった。
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
三山の親切に対して
強
(
しい
)
て争う事も出来ずに不愉快な日を暮す間に、大阪の本社とは日に
乖離
(
かいり
)
するが東京の編輯局へは度々出入して自然
親
(
したし
)
みを増し
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
心配することはなにもない……西洋のある哲人は、あらゆる感動は、みな急激な
乖離
(
かいり
)
からくるといっている。
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その
乖離
(
かいり
)
は初めは感じ難いほどであるが、木の枝が分かれるようにしだいに大きくなる。小枝はなお幹についたまま遠ざかってゆく。それは小枝の罪ではない。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「すぐいって来る」右衛門の両方の眼の
眸子
(
ひとみ
)
が右は右へ左は左へと
乖離
(
かいり
)
運動を起こした、「——というと、つまり、その、……おまえは、二時間以上も経つのに、まだ、その、うう」
思い違い物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それ商業なるものはなお一個人の間におけるがごとく、邦国の間にもおのずから自他の友愛和睦の
関紐
(
かんじゅう
)
となるべきはずなるに、かえって
乖離
(
かいり
)
敵対のもっともはなはだしき原因となれり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
直観の欠如といふことがゲーテの歴史に対する関係の
乖離
(
かいり
)
であつた。
ゲーテに於ける自然と歴史
(新字旧仮名)
/
三木清
(著)
すると琴子は気質転移をひきおこした
乖離
(
かいり
)
病患者のようなめざましい上機嫌になって
ハムレット
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
去る者は
闇
(
やみ
)
の方へ向き、来る者は光明の方へ向いている。ここにおいてか
乖離
(
かいり
)
が生じてきて、老いたる者にとっては宿命的なものとなり、若い者にとっては無意識的なものとなる。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
従つてそこに見られるのは主観的傾向であつて、ここに先づ既に、客観的であることを本質とする歴史的意識と浪漫主義との
乖離
(
かいり
)
がある。ゲーテは同時代のかやうな浪漫的傾向から離れて立つてゐた。
ゲーテに於ける自然と歴史
(新字旧仮名)
/
三木清
(著)
乖離
(
かいり
)
と排他主義の精神をおし樹てていた頑冥な閉鎖国で、清の高宗が辺外諸部との交通を禁止した乾隆十五年(一七四九)から、民国三年(一九一四)のシムラ会議まで、百六十五年の間
新西遊記
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
“乖離”の意味
《名詞》
乖 離 (かいり)
違う方向にそむき離れること。
ある数値などから離れていること。差。
(出典:Wiktionary)
乖
漢検1級
部首:⼃
8画
離
常用漢字
中学
部首:⾫
19画
“乖離”で始まる語句
乖離的