世帶せたい)” の例文
新字:世帯
ふくみ何にもないが一ツ飮ふと戸棚とだなより取出す世帶せたいの貧乏徳利干上ひあがる財布のしま干物さしおさへつ三人が遠慮ゑんりよもなしに呑掛のみかけたりお安は娘に逢度さを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
世帶せたいじみたことをと旦那だんなどのが恐悦顏きようえつがほぬやうにしてつまおもて立出たちいでしが大空おほぞら見上みあげてほつといきときくもれるやうのおももちいとゞ雲深くもふかりぬ。
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「だけど、阿母おつかさん、そりや阿父おとつさんが生きておいでだツたら、此様に世帶せたいの苦勞をしないでゐられるかも知れないけれども、其のかわりまた何様な苦勞かあるか知れたもんじやないのね。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
致さんと心能承知なしければ長兵衞は大いに悦喜よろこび夫では私しも大いに安堵あんどしたり夫なら斯仕樣御前が行てくれるとあとは女一人なれば世帶せたいつひえるからとてもの事に世帶を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
養生やうじやうなし夫より八五郎も那通あのとほりの氣象者きしやうものゆゑ不便ふびんと思ひ手紙をそへて私が所へ此衆夫婦と後藤先生三人を送り越せし故後藤先生と相談さうだんして此長八をば私しが世話をして世帶せたい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)