不賛成ふさんせい)” の例文
「だめだ。だめだ。かわぶちなんかいけない。みちわるくて、やぶがたくさんあってこまる。おまえさんは無神経むしんけい同然どうぜんだからいいが、わたしこまる。」と、かおをしかめて不賛成ふさんせいをとなえだした。
電信柱と妙な男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ああ、思えば一度でもいから、わたしの説教を聴かせたかったと云った。それから——また各方面にいろいろ批評する名士はあったが、いずれも蟹の仇打ちには不賛成ふさんせいの声ばかりだった。
猿蟹合戦 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
なんといっても、これから、ながふゆはいるのだから、うんと一にちみんなでなかよくあそびましょうよ。だいいち、このやまにすむもののこのみですから、おそらく不賛成ふさんせいのものはありますまい。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかも、彼女かのじょ孤児みなしごであって、叔母おばさんにそだてられたのであるが、叔母おばさんも、この結婚けっこんには不賛成ふさんせいでした。なぜなら、相手あいてというのは、とおたびから行商ぎょうしょうにきた、まずしげな青年せいねんだったからです。
北の不思議な話 (新字新仮名) / 小川未明(著)