-
トップ
>
-
三方
>
-
さんばう
とて
下を
向いて
歎息の
聲を
洩らすに、どうも
何とも、
私は
悉皆世上の
事に
疎しな、
母もあの
通りの
何であるので、
三方四方埓も
無い
事に
成つてな、
第一は
此娘の
氣が
狹いからではあるが
あのやうな
良人を
持つ
身の
何が
不足で
劔の
刃渡りするやうな
危險い
計較をするのやら、
可愛さうにあの
人の
好い
仲町の
姉さんまでを
引合ひにして
三方四方嘘で
固めて、
此足はまあ
何處へ
向く