一風呂ひとふろ)” の例文
一風呂ひとふろゆあみに二人は今日の疲れをいやし、二階の表に立って、別天地の幽邃ゆうすいに対した、温良な青年清秀な佳人、今は決してあわれなかわいそうな二人ではない。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
翌朝よくてう一風呂ひとふろキヤ/\とび、手拭てぬぐひしぼつたまゝ、からりとれた天氣てんきさに、かはきし坦々たん/\とさかのぼつて、來日くるひヶ峰みねかたむかつて、晴々はれ/″\しく漫歩ぶらつした。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「ちょっと今のうち一風呂ひとふろ浴びていらっしゃい。またそこへ坐り込むと臆劫おっくうになるから」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一風呂ひとふろあびて円坐えんざを作りゃ
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
宵寐よひねをするにもあまはやい、一風呂ひとふろびたあと……を、ぶらりと二人連ふたりづれ山路やまみちたのが、ちやうど……きつねあなにはあかりかぬが、さるみせにはともしび時分じぶんなにとなくうすさむい、其処等そこらかすみ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)