一言二言ひとことふたこと)” の例文
ただ、その度に皮肉な御微笑を、あの癖のある御口元にちらりと御浮べになりながら、一言二言ひとことふたこと鋭い御批判を御漏おもらしになるばかりでございます。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そこで船長が、かわって電話機をとりあげたが、一言二言ひとことふたこといううちに、船長は、おどろきのこえをあげた。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
浮気女の豊艶な魔力におさえられて一言二言ひとことふたことうまいことを言われるとグニャグニャ相好をくずすだけが能だという、思えばかえすがえすもあさましい限りであった。
オモチャ箱 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
たま一言二言ひとことふたことそれとなく問を掛けて見ても、三千代は寧ろ応じなかつた。たゞ代助の顔をれば、見てゐる其間そのあひだ丈のうれしさにおぼつくすのが自然の傾向であるかの如くに思はれた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
庄左衞門は堅いから向うで金を出したのを立腹して、一言二言ひとことふたことあらそいより遂にぴかつくものを引抜き、狭い路地の中で白昼に白刃はくじんひらめかし、斬合うという騒ぎに相成りましたから
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あるひは兵卒へいそつ頸筋元くびすぢもと駈𢌞かけまはる、するとてきくびゆめやら、攻略のっとりやら、伏兵ふせぜいやら、西班牙イスパニア名劍めいけんやら、底拔そこぬけ祝盃しゅくはいやら、途端とたん耳元みゝもと陣太鼓ぢんだいこ飛上とびあがる、さます、おびえおどろいて、一言二言ひとことふたこといのりをする
前のよりは少し低い調子で一言二言ひとことふたこと言い出すのが聞えます。